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半導体投資、活発に、工場新設や拡張に増強が始まった

昨年11月から大きく落ち込んでいた半導体販売額が回復し始め、ようやく市況の回復が見え(参考資料1)、半導体投資が活発になってきた。SBIとPowerchipとの合弁ファウンドリが工場用地を宮城県黒川郡大衡村に確定し、中国のDRAMメーカーCXMTが約8000億円を調達、Samsungも2023年の投資額が約6兆円に達することが判明した。半導体教育は九州から全国へ広がっている。

SBIホールディングスと台湾のファウンドリPSMC(Powerchip Semiconductor Manufacturing Corporation)は、宮城県黒川郡大衡村の第二仙台北部中核工業団地にファウンドリ工場の建設予定地を正式に決めた。このニュースを報じた11月1日の日本経済新聞によると、第1期と2期の工事で合計8000億円を投じる。1期は27年の量産を目指し24年に着工するが、ここに4200億円を投資する。さらに「生産能力は27年に12インチウェーハ換算で月産1万枚を目指し、工場がフル稼働する29年には計4万枚に高める。力晶は台湾から最大250人の人員を日本に送る。最終的には1200人を雇用する」と報じた。新工場では、車載用向けに28nm、40nm、55nmの半導体製品を生産する。28nmは車載向けにこれから増えていくデザインルールであり、UMCも22/28nmプロセス製品を最も多く生産している。


CXMT

図1 CXMTのホームページ


しばらく生産が実質上、止まっていた中国のCXMTが復活したようだ。11月2日の日経は、「安徽省合肥市を本拠地とする半導体会社、長鑫新橋存儲技術(長鑫新橋)が390億元(約8000億円)を調達したことが明らかになった」と報じた。このニュースソースは中国の調査会社だとしている。長鑫新橋は、DRAMメーカーのCXMTのこと。CXMTのホームページ(図1)を見ると、2022年11月から23年9月1日までニュースリリースの掲載が1本もなく、23年9月21日のSEMIとCO2削減のセミナーを共同開催する、というニュースが最新ニュースとなっている。しかも、22年11月の前のニュースは5月と4月のニュースで、さらにその前は2019年9月のニュースとなっている。企業としてはほぼ休眠状態に近かった。DRAMは、単なるコンピュータチップだけではなくAIチップにもセットで使われることがはっきりしたため、復活させたのであろう。

Samsungは、23年の設備投資額が53兆7000億ウォン(約6兆円)になることを31日の23年7〜9月期決算発表で明らかにした。報じた11月1日の日経によると53兆7000億ウォンのうち半導体部門が88%もあり、ソウル近郊の平澤工場の生産拡張投資と、テキサス州のテイラー市(オースチンから約30kmほどの街)に建設中のファウンドリ工場の立ち上げを急ぐ。この四半期におけるSamsungの半導体部門の売上額は、16兆4400億ウォン、内メモリが10兆5300ウォンで、営業損益は半導体全体で3兆7500億ウォンの赤字となっている。1〜9月まで36兆7000億ウォンを投資しており、たとえ今は赤字でも今年の10〜12月に17兆ウォンを投資することになる。53兆7000億ウォンは前年比1%増だという。

日本国内で半導体産業最大の問題である人材の教育について、熊本県や北海道、広島県などに加え、愛知県でも半導体人材教育に力を入れ始めた。11月1日の日経中部地方経済面によると、豊橋技術科学大学は半導体の研究施設を4倍に拡張するほか、名古屋大学などは専門講座を始める、という。愛知県は自動車産業を頂点とする製造業の県であり、自動車にはこれからも半導体の消費額がますます増えていく。電気自動車だけではなく、トヨタの豊田会長が述べているように、これからのクルマはSD-V(Software Defined Vehicle)になると言われており、CPUやGPUなど半導体製品が増えていく。

愛知県の豊橋技科大は豊橋市のキャンパスに「LSI工場」と呼ぶ、延べ床面積700平方メートルの研究施設を持つが、2025年度内をめどにLSI工場の南側に、クリーンルームを備えた平屋建ての新棟を建設する。延べ床面積は約2000平方メートルになる予定だ、と報じている。研究設備を利用した半導体教育を実践できる。さらに、名古屋大学や名古屋工業大学、三重大学など8大学と2高専は24年度以降、半導体や業界の知識を体系的に学ぶ「半導体工学特論(仮称)」を開講する。中部経済産業局が主導して23年3月に発足させた協議会が教材や動画を作成中だという。

参考資料
1. 「はっきり見えた、半導体回復の傾向」、セミコンポータル (2023/10/13)

(2023/11/06)
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