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日本でも半導体を強化する議員連盟が発足

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自民党が日本の半導体戦略を検討する議員連盟を発足させたと5月22日の日本経済新聞の電子版が報じた。米国は中国の半導体製造を強化する一連の流れに対抗して米国内にも半導体製造を強化するための仕組み作りに着手した。日本では議連が米国と連携して半導体産業を強化するため、税や予算などの政策を政府に提言していくという。

この議員連盟の話は、5月11日の産経新聞による甘利明税調会長へのインタビューで明らかになり、12日の産経新聞に掲載され、NHKや日経などが後追い報道をしていた。甘利氏は、2020年12月のセミコンジャパンでの五神真東京大学総長と、東哲郎元東京エレクトロン会長・社長との三者によるパネルディスカッションで半導体産業への盛り上がりを議論した。その時の議論では、甘利氏は半導体産業を理解していると思われる発言をしていた。

日経によれば、議連は政府と同時並行で、半導体の研究開発や生産を後押しする予算措置や投資促進税制、規制改革などを検討する。年末にまとめる2022年度予算案や税制改正大綱に具体策を盛り込むという。

5月19日には、JEITA(電子情報技術産業協会)の半導体部会も経済産業省に対して、「国際競争力強化を実現するための半導体戦略」を提言しており、日本が強い半導体分野(NANDフラッシュとCMOSイメージセンサ、アナログ、パワー)への大型支援を求めている。加えて、国家の安全保障の観点から主要国が進める半導体産業の維持と強化を提言している。

米国は、バイデン大統領が先頭に立って議会に対して支援金額500億ドルを承認・執行させるための組織作りに動いている(参考資料1)。米国内での半導体製造を促進するため、Intelは200億ドルをアリゾナ工場に投資し、米国と欧州にファウンドリ工場も強化するIDM2.0を打ち立てている。台湾のTSMCをアリゾナに誘致し、さらに新しい米国のファウンドリSkywater Technology社は90nmプロセスからビジネスを本格化させ、すでにDARPAとの業務提携も終えている。

TSMCの大型投資だけではなく、Samsungも韓国内に2兆円強を投資するほか、米国内にも新しい工場の建設を検討している。

こういった海外の動きに対して、日本だけが取り残された格好であったため、半導体強化策を経済産業省が模索してきた。その一つがTSMCを日本に誘致することだった。残念ながらウェーハプロセス工程は断られたため、今年になってパッケージ工程の誘致を進めようとしたが、これも失敗に終わっていた。

世界の半導体企業は、それぞれが得意な製品を持ち、それぞれ独自に研究開発を行っているため、半導体企業同士が何かをまとまって強くして成功したという例は実はほとんどない。半導体産業は、売上額の10%〜15%程度を研究開発につぎ込まなければならない産業であるため、研究開発費の税制優遇を行っている国が多い。

しかし、これまでの経産省は1社のために動くことはせず、しかも税制優遇は財務省のマターであるとして、以上のような世界的なやり方には手つかずにいた。ただし、議員や内閣は、サイロのような各省庁に横グシを入れることのできる組織ではある。残念ながら内閣は半導体を理解していない。議員はどうか。米国でも同様であるため、民主党・共和党の超党派の議員によって、半導体製造強化の支援を求めてきている。日本で今回設立された議員連盟では、甘利氏を会長にし、麻生財務大臣が安倍前首相と共に最高顧問という形をとるため、税制優遇を実現できる立場にはいる。ただ、本当に実現できるかどうか、これまでも議員を中心とした「半導体連盟」のような組織は、出来ては消え、を繰り返してきたため、期待は禁物という見方もある。

参考資料
1. バイデン大統領の半導体支援500億ドル執行実現へ、SIACが設立 (2021/05/17)

(2021/05/24)

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