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TSMC、半導体企業第2位が射程に

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先週はTSMCの決算発表があり、2020年第4四半期(10〜12月期)の売上額が126.8億ドル、営業利益率が43.5%、と絶好調の様相を見せた。半導体ランキング(参考資料1)でも1位のIntelとSamsungとの差よりも、2位SamsungとTSMC間の差がずっと小さくなる見込みだ。Samsungの決算報告は来週なので正確なことは言えないが、TSMCの好調さが際立っている。


TSMCの連結決算では、4Qの売上額は前年同期比22%増、前期比でも4.4%増と上昇基調を示している。売上額に大きく寄与したのは5nmプロセスの製品であり、全体の売上額の20%にも達した(図1)。これまで最先端の7nmプロセス、2世代前の16nmプロセスも、それぞれ29%、13%を占めている。 TSMCは、売上額の62%を先端プロセスで稼いでいることがわかる。微細化を進めれば進めるほどコストは増加するが、その分半導体メーカーが負担してくれるという構造になっている。微細化のコスト増で撤退した日米企業たちとは全く異なる考え方だ。


図1 TSMCの第4四半期における売上額の内訳 出典:TSMC


TSMCの大きな収入源となった5nmプロセスは、5Gスマートフォン向けのアプリケーションプロセッサや、データセンター・スーパーコンピュータなどのHPC(高性能コンピューティング)向けプロセッサなどだという。5nmの需要はHPCが成長のドライバになっていると見ており、その理由として、新しいアーキテクチャが出てきており、これまでとは違うプレイヤーが増えていることを挙げている。

2020年全体では、売上額は前年比25.2%増の455億ドル、粗利益率が53.1%、営業利益率は42.3%となっており、Samsungに迫る勢いとなっている。

2021年第1四半期に向けて、スマホは季節的要因から需要が緩み、HPC関係と車載向け半導体の回復が期待されるとしている。TSMCは1Qの見通しも発表している。売上額は127億ドル〜130億ドル、営業利益率は39.5〜41.5%を見込んでいる。ここでは1米ドル=27.96台湾元として計算している。この1年で台湾元は米ドルに対して高く推移しており、1年前の1米ドル=30.3台湾元から元高になっている。TSMCの米国工場は米国への輸出による為替差損をカバーできるというメリットもある。

TSMCはさらに2021年の設備投資にも言及しており、250億ドル〜280億ドルを見込んでいる。5nmプロセスに欠かせないEUVリソグラフィ装置の生産性については、引き続きサプライヤー(ASML)と改善を続けている。5nmプロセスは複雑になるため、投資額は高くなると述べており、製造装置メーカーにはチャンスとなる。ただし、3nmプロセスへの投資に関しては、誰がカスタマとなるのかによるという。HPC関係企業がその可能性は高いものの、最初のカスタマはスマホメーカーになる可能性が高いと見る。微細化はこれからも続けていくが、EUVへの投資額は公開していないと答えている。

アナリスト向けの決算報告会では、TSMCが日本に工場を作るという質問は出ず、TSMC側からも発表はなかった。つまり、台湾側からはこの問題の関心が薄いことを物語っている。

先週に引き続き、車載半導体の需要が高まりすぎて供給不足に陥りクルマの減産に至っている。日産、トヨタ、ホンダに続き、スバルも減産に入ったことを発表している。1月15日の日本経済新聞は、スバル米インディアナ州の工場で数千台規模の減産を見込むと報じた。国内でも群馬製作所の稼働を停止すると14日に発表している。

車載向け半導体の需要の高まりを受けてルネサスエレクトロニクスの株価が上がっていると13日の日経が伝えた。さらに、ルネサスはMicrosoftとのクルマ用半導体設計で協力することを発表したことも歓迎されたようだ。Microsoftは自社のクラウド環境であるAzure上にMCVP(Microsoft Connected Vehicle Platform)を構築しており、ルネサスの車載向けSoCを開発するためのR-CarスタータキットをMCVP上で利用できるようになる。MCVPにはクルマ関係の企業が集まり、双方向ネットワークやソフトウエアのワイヤレスでの更新ができるOTA(Over the Air)などのサービスを提供する。そうするとクルマ企業が直接R-Carスタータキットを使えるようになる。

参考資料
1. 2020年の世界半導体企業トップ15社ランキング (2020/11/25)

(2021/01/18)

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