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華為へのICチップの供給許可を米国政府へ相次ぎ申請

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先週、米国政府の対中政策がSMICへも及び、一層厳しくなったが、反面Intel製品の華為科技への輸出が許可された。この1週間、中国への輸出制限へ日本企業の対応が表面化してきた。ソニーとキオクシアが華為への輸出許可を米国政府に申請、対中輸出に対するSCREENのトップの見方もあった。キオクシア上場延期の影響についても報告された。

9月22日、Intelは、中国の華為へある特定製品(複数)を供給できるという許可を米当局から得たことを同日のロイターが明らかにした。続いて、韓国のSK Hynixと台湾のMediaTekも華為への輸出申請許可を米当局に求めていることが判明した。さらに、10月4日の日本経済新聞は、ソニーとキオクシアが華為への半導体製品の供給再開を申請したと伝えた。韓国のSamsungも申請しているという。

パソコンやサーバー向けのCPUメーカーであるIntelは、華為が生産するパソコン向けのCPUが許可されたものとみられるが、MediaTekはスマートフォンのアプリケーションプロセッサや基地局のモデムであるため許可は難しいかもしれない。SK HynixとSamsungはDRAMやNANDフラッシュ、ソニーはスマホ向けのCMOSイメージセンサ、キオクシアもスマホ向けのNANDフラッシュを申請対象としているだろう。基地局向けはおそらく許可されないが、スマホ向けチップは基地局向けほど厳しくはないが、許可される見通しは今のところ不明だ。

そもそも、これらの半導体チップを中国華為へ輸出する場合には米国当局の許可が必要、としたのは、「米国製半導体製造装置やソフトウエアで作製した製品を華為へ供給する場合には米当局の許可が必要」という法令を9月16日以降有効としたからだ。SMICが米国製半導体製造装置を使って製造した半導体製品も華為へ供給できない。加えて、SMICへの米国製半導体製造装置の輸出も規制されたため、中国はもはや自国で製造装置を作らざるを得なくなった。9月30日の日刊工業新聞は、SCREENホールディングスの広江敏朗社長CEOとのインタビュー記事で、今のところ「日本製装置の引き合いが増えたとは感じていない。おそらく最先端のラインを敷こうとすると、米国製装置が必要になってくるのだろう」と同氏は述べている。

29日の日刊工業もSMIC向けの輸出規制は日本の半導体製造装置にも影響を及ぼす、と見ており、SMICが米当局のエンティティリスト入りになれば、半導体製造装置業界全般にネガティブな影響が出るとしている。

東芝は、システムLSIから撤退すると発表(参考資料1)、希望退職と東芝グループ内での配置転換で約770人を人員整理すると、9月30日の日経が報じた。システムLSI「Visconti」のような自動認識用半導体は、自動運転向けのADASに使われるため、開発されたばかりのLSIが実際のクルマに搭載されるのは早くて5年後だ。すでに開発済みのVisconti製品もあるが、ディープラーニング機能を集積した新製品がクルマに搭載されるにはやはり5~7年かかる。東芝経営陣は、もはやこの期間に耐えられないと判断したのであろう。

東芝のリストラが続くのは、東芝本体は少しでもキャッシュがほしいからだ。キオクシアの東京取引所への株式上場はキャピタルゲインという「打ち出の小槌」になるはずだった。新型コロナによる新需要はあるものの、4割を占めるスマホ市場での米中貿易戦争への不透明感はいがめない。東芝トップは何としてもキャピタルゲインが欲しい。とりあえず不透明な今は、上場を延期しよう、という訳だ。

キオクシアの上場延期で、SK Hynixがキオクシアへ増資できなくなり、SKとしてはNANDフラッシュを強化するためにキオクシアへ経営参加した意味が薄れてしまう。SKはキオクシアへの出資比率を株式公開によって14.96%に高めようとしている、と10月1日の日経は報じ、キオクシアの上場延期で足踏みしている、と日経は表現した。


参考資料
1. 東芝、システムLSIから撤退、早期退職募集へ (2020/09/30)

(2020/10/05)

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