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中国製半導体製造装置を長期的に開発へ

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中国の華為科技(ファーウェイ)が厳しい状況に置かれている。ファブレスで子会社のHiSiliconが最先端プロセスのアプリケーションプロセッサを設計できなくなっているのだ。6月2日の日経には華為が日本に近づくという記事、3日には日本の技術者が中国に渡っているという記事が載った。また、コロナ後の新常態を狙ったビジネスが各種出てきた。

これまでのHiSiliconは、7nmプロセスという最先端の技術を使うことができ、日本の半導体企業を抜き去り世界の半導体企業トップ10位にも顔を出すようになった。このことは、「中国に最先端技術を渡さない」として米国が定めたワッセナール協定が骨抜きにされていたことを意味する。ファブレスとファウンドリの分業体制が骨抜きにした。米国政府は何とかして、この協定を実質的なものに変えたかった。このための手段が今回の「米国製半導体製造装置を使って製造されたチップは生産国を問わず華為とその子会社に出荷してはならない」という措置である。これに応じて、TSMCはHiSiliconからの新規受注を取りやめ、米国に最先端工場を設置することを決めた。

HiSiliconにとっては厳しい状況を突き付けられた格好だ。このため、代替品としてMediaTekの市販のAPU(アプリケーションプロセッサ)を確保しようとする動きを先週伝えた(参考資料1)。今の所は、どうやら長期的な展望に立って、SMICを支援しよう、国産の半導体製造装置を開発しようとしているようだ。

「中国製造2025」政策では、中国国内の半導体市場における中国製半導体チップの市場シェアを25年までに70%に上げるという目標を掲げているが、残念ながらその目標をクリアすることはほぼ絶望的である。2018年時点で15%、20年でさえ20%程度しか見込まれていない。計画では2023年に40%に上げるはずだったがこれも無理。しかも中国製半導体の過半数は、外国勢が中国内で作るチップである。Samsung、SK Hynix、Intel、TSMCなどの大手の中国内工場だけで60%程度を占める。

短期的には、かつての韓国のように外国から人を雇用することだ。すでに台湾のエンジニアが3000名中国にいると言われている。6月3日の日経は、「『コロナ前の2倍でも3倍でもいいから人を送ってほしい』。ある半導体製造装置会社には中国の顧客企業から人の派遣要望が相次ぎ寄せられている」と報じている。半導体製造装置の国産化は以前からも中国の願望であったが、実現は難しい。日本から輸出する半導体製造装置の36%が中国向けだという。工場拡張に熟練の日本人技術者のノウハウを求める企業は多い、と日経は報じている。半導体製造装置ではないが、「中国はハイテク産業を支える技術者の派遣を日本企業に求めており、京セラなどが社員を送った」という。

新型コロナ後の新常態(ニューノーマル)を狙ったビジネスの動きも始まっている。三菱電機は、2025年までの中期経営計画で、国内外のスタートアップ企業に100億円を投資すると発表した。グループ内企業と共にIoTやAIを活かした事業を支援する。東芝も遅ればせながら、IoT事業を強化すると車谷社長が述べたと8日の日経産業新聞が報じた。日本IBMやシーメンス日本法人から人を招き、IoTシステムの構築と、それを支えるソフトウエアプラットフォームを構築する。ただし、日立製作所がすでに構築している「Lumada(ルマーダ)」システムの後追いともいえる。日立ではすでにルマーダが20年3月期に1兆2000億円を超える事業に成長している。日立はITとOTをつなぐ役割を売り物にしているが、東芝はPOSに強い流通を特長とするとしている。

ソニーの関連会社で医療情報サービスのエムスリーは、中国のアリババ集団と提携し、AIを使った画像診断システムを厚生労働省に承認申請した、と4日の日経は伝えた。新型コロナによる肺炎を診断するシステムで、中国では湖南省や上海の病院で使われてきたという。新型コロナの疑いのある患者のCT画像をクラウドに送り、クラウドのAIが判断結果を送ってくる。医師の診断時間の1/60で済み、その精度は90%以上だとしているが、日本ではまだその精度には達していないという。

未だにクルマ産業は不調であるが、少しずつ明るくなっており、中国では移動手段として電車ではなくクルマが見直され、出荷台数が増加していると言われる。ホンダは出遅れていたEV(電気自動車)とFCV(燃料電池車)を同時に組み立てられる生産ラインの導入を計画する、と2日の日経が報じた。またEV向けのSiC技術を持つロームは、ドイツのContinental傘下のVitesco TechnologiesとSiCインバータの共同開発に取り組む、と5日の日刊工業新聞が報じた。2025年にSiC搭載のインバータを生産開始する計画だ。

参考資料
1. ニューノーマルへの対応の早い台湾は20年プラス成長を予想 (2020/06/01)

(2020/06/08)

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