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コラボで未来を拓く企業が続々

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企業間連携や産学連携などコラボレーションが進んでいる。先週、KDDIが多くのスタートアップ企業とのコラボを発表、東京工業大学はコマツと共同研究所を設置することで合意した。トヨタはMaaS会社を指向するため西日本鉄道や、ソフトバンクなどとコラボする。また、半導体景気は今が底だとする記事もある。

通信オペレータであるKDDIは、2011年以来、「KDDI ∞Labo(ムゲンラボ)」と呼ばれるスタートアップとの協業を行ってきた。今回、AI開発のアラヤ社、VRを使ったコミュニケーションサービスのシナモン社など7社が発表した、と3月28日の日経産業新聞が報じた。

KDDIのような通信オペレータは、無線のセルラーネットワークを構築して、その利用料金を徴収するというサービスが主体だった。しかし、通信オペレータのネットワークを利用して消費者向けのサービスを行うFacebookやAmazon、Google、Appleなどが大きく成長しているのを見るにつけ、「俺たちはドカン屋か?」という複雑な思いからインターネットサービスを模索してきた。先月はドローンでも各社とコラボの発表を行っている(参考資料1)。KDDIは、2011年にムゲンラボを開始、今回が12回目だとしている。これまでに66社のスタートアップを支援し、60件超の事業連携が生まれているという。

コマツと東工大のコラボでは、すずかけ台キャンパスに「コマツ革新技術共創研究所」を4月1日に設置する。まずは、建設機械のポンプやモーターを長寿命化させるため、摩耗などを扱うトライボロジー分野の技術と現場のノウハウを連携させる。3月26日の日経産業によると、コマツと東工大は2015年に連携協定を結び、現場の経験に頼りがちだったトライボロジー分野で東工大の機械、材料、化学などの知見を油圧ポンプの寿命延長などに生かしてきた。将来はAIの活用なども視野に入れるという。

トヨタは、『自動車をつくる会社』から、移動に関わるあらゆるサービスを提供する『モビリティー・カンパニー』にモデルチェンジする、と表明してきたが、3月28日トヨタとソフトバンクの共同出資会社モネ・テクノロジーズ(東京・港)が「モネサミット」を開いた。モネ社は、MaaS(Mobility as a Service)の世界のプラットフォーマーになる会社を育てるとしている。そのためにMaaS開発に向けたコンソーシアムを構築し、88社が協力するという。モネ社は、すでにスマホで予約する相乗りの「オンデマンドバス」を運営するプラットフォームを今年2月から提供開始、19年度には移動店舗などに使える「サービスカー」も提供する計画だ。

トヨタにとって、MaaSビジネスは、西日本鉄道と組んだ「マイルート」と呼ぶ、目的地への経路や時間を表示するアプリから始めた。東京でもカーシェアリングも開始、さらにシンガポールのライドシェア会社Grabのクルマ1500台を提供した。東南アジアでのトヨタ車のシェアを上げる狙いもある。

ルネサスがIDTを買収したことによって有利子負債が1兆円を超えるが、米格付け会社のS&P Global Ratingは、ルネサスの格付けを従来のトリプルBからトリプルBマイナスに一段引き下げた、と29日の日本経済新聞が報じた。

27日の日経は、電機や機械では半導体などの在庫調整が進み、市況が回復して株価も反転に向かうとの期待が高まっていると報じた。石油や素材は景気後退の様相を示しているが、BNYメロン・アセット・マネジメント・ジャパンや、みずほ総合研究所は、半導体の需要は回復局面にあるとみている。ただし、メモリは景気回復が少し遅れそうだ。スマートフォン向けのDRAMとNANDフラッシュは価格の下落が続いており、データセンター向けも需要が落ち着いてきたという。

実際WSTSの数字では、2018年12月には前年度割れになり、1月はこのマイナスがさらに深くなった。ルネサスは2カ月間工場を止めると発表したが、コストを抑えるためとしている。またメモリメーカーは、設備投資を遅らせ、生産調整にも動いている。


参考資料
1. KDDI、ハード・ソフト・サービスをパッケージにしたドローンビジネスを展開 (2019/03/07)

(2019/04/01)

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