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IoT関連のニュースが活発に

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先週、IT分野最大の見本市とも言うべきComputex Taipeiが開催され、IoTがらみの記事が目立った。Internetにつながるモノ全てをIoTと表現する。その定義は非常に幅広く、ワイヤレスセンサネットワークやM2M、ウェアラブル端末(ヘルスケア端末)、PC、サーバーなども含み、さらにイントラネットにつながるICタグでさえ最終的にインターネットにつながることから、IoTに含めるようになってきた。

Computex Taipeiでは、IoTに注力する台湾メーカーの姿を6月4日の日経産業新聞が報じた。パソコン大手のAcerは、IoTプラットフォームと称するIoT開発ツールを発表、センサ機器向けの半導体やOSを提供する企業など30社と協力していくという。スマートフォン用アプリケーションプロセッサのMediaTekや、通信インターフェース/オーディオコーデックのRealtekは、IoT機器開発キットを展示した。任意のソフトウエアをすぐに開発できるような環境を用意したとしている。

同日の日経産業は、日立造船と日本IBMがビッグデータを活用して、ごみ焼却炉の発電プラントを精密にかつ予防保守が可能なシステム構築を目指すことを報じた。ゴミ焼却炉の燃焼パターン見ながら、ダイオキシンなど有害物質発生の抑制と発電量と両立させるように最適化する。適用例として初めてはないが、農業や流通運送業への適用例についても紹介している。また、スーパーマーケットのレジの行列の待ち時間を減らすための工夫も紹介している。千葉県佐倉市のスーパーでは50台の赤外線センサを設置、来客数を測定、過去の実績データを参照にしてレジを待つ行列を減らすための最適化を行っている。

同日の同紙には、「こんなところにもICタグ、(略)」と題して、小売店や医療現場でのICタグの実例を紹介している。これまでのICタグだと、店のコンピュータから値付けや品目のデータをICタグに送受信するだけだったが、ICタグのデータをPOS端末からインターネットに送り、本部のコンピュータからデータを解析することが可能になると、ICタグまでがIoT端末になる。高級バッグにタグを付けておけば、スマホを近づけると本物か偽物かを表示するサービスも目指していく。そのデータをクラウド上で保存し共有できれば、偽物防止につながる。医療現場でも、手術器具や検体容器にICタグを付けて管理すれば少しでも医療ミスを取り除くことができるようになる。さらに、ICタグの通信を独自にせず、NFCという標準規格で行うようにすれば、さまざまなモノを認証でき、さらにインターネットに直接つなげることもできるようになる。

同日の日刊工業新聞が報じたが、東芝がIoT端末とクラウドストレージサービスでMicrosoftと提携した。運送業者向けに東芝のIoT端末と、MSのデータ収集・分析ツールでビッグデータ解析しソリューションを提案するとしている。温度や湿度、衝撃などをセンサで測定、運送状況データをクラウド上に蓄積、分析することで、荷物への損害を減らす改善策や、衝撃の少ない運行ルートへの変更などを模索するという。

監視カメラもIoT端末の一つとみなせる。米国のベンチャー企業のTechpoint社が従来の同軸ケーブルを使いながら、HD画像を送受信できるトランシーバチップを監視カメラ向けに日本で販売するというニュースが6月4日の日経産業に紹介されている。Techpointは、シリコンバレーにおける日本人起業家の小里文宏氏が2012年に設立した会社。それ以前に設立した画像処理用IC開発のTechwell社が2010年、米国のアナログ半導体メーカーIntersilに4億5500万ドルで買収されたことから(参考資料1)、次の会社を興した。

外資系半導体メーカーは日本市場でIoTに期待する。日本サイプレスは、親会社Cypress SemiconductorがSpansionを吸収合併したことを受け、36歳の若い新社長を紹介、日本市場での売り上げをさらに伸ばすため、カーエレクトロニクスとIoTにフォーカスすると述べた。アナログとミクストシグナルのMaximは、Industry 4.0に向けたPLC(プログラマブルロジックコントローラ)やFA(ファクトリーオートメーション)向けの半導体チップで日本の工業機器市場を攻略していくと述べている。


参考資料
1. 米アナログ半導体メーカーがカーエレ市場にトップギアチェンジ(Intersil編) (2011/11/07)

(2015/06/08)

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