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曲面フレキシブル技術が相次ぎ、海外とのコラボも盛んに

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先週、プリンテッドエレクトロニクス展/ファインテックジャパン/フォトニクスジャパンなどの材料関係の総合展示会があったせいか、フレキシブルパネルの発表が相次いだ。Samsung製の曲面の有機ELを使ったスマートフォンや、凸版印刷の曲面タッチパネルなどが発表された。海外企業との共同開発の発表も相次いだ。

Samsung製のスマホ「ギャラクシーS6エッジ」に搭載された有機ELは横の端まで曲面のディスプレイで出来ており、画面を大きく映し出す。画面サイズは約5.1インチという表現をしている。有機ELディスプレイは色度図の範囲が広く色表現が豊かである。寿命の問題が解決されたとはまだ聞いていないため、製品寿命の短いスマホに採用されており、テレビ用に同社は開発を断念している。現在有機ELのテレビは同じ韓国LGだけになった。LGはSamsungに対して激しいライバル意識を持っているため、有機ELを重要な差別化要素だとしている。

凸版印刷は、曲面形状の車載ディスプレイ向けに静電容量方式の銅タッチパネルモジュールを開発したと発表した。微細な銅メッシュの配線技術により、車載ディスプレイの樹脂カバー越しでもマルチタッチや拡大縮小などの操作が可能だとしている。横浜市のワンダーフューチャーコーポレーションの成形加工技術を利用し、銅タッチセンサフィルムを3次元曲面に成型、モジュール化したもの。曲面の多い車載用のセンターコンソールへの組み込むことができる。2015年7月からサンプル出荷を予定している。

海外企業との共同開発も相次いでいる。大日本印刷は、銀ワイヤーを使った透明の導電性フィルムを開発、この4月からサンプル出荷を始め、この夏から量産すると発表した。DNPは、銀ナノワイヤーインクを開発・製造する米国のベンチャーInnova Dynamics社と共同で、この透明な導電フィルムを開発した。フレキシブルディスプレイや、それを利用するウェアラブル端末のセンサなどへの応用などを狙っている。ウェットコーティングによる量産性の確立と低コスト化の実現により、ノートパソコンにも使えるとする。銀ナノワイヤーは、幅がナノメートルレベルの細長い針状の銀をインクの中に散りばめている。互いの針状銀が接触しているため、数十ミクロン幅の配線でも導電性が得られる。ナノメートルレベルの細さなので、配線はほぼ透明に見える。DNPは、高価なITO(インジウムスズ酸化物)の代替品として、今後タッチパネルだけではなく、反射防止膜や液晶位相差フィルムなどにも適用していく。

アルバックは、MEMS PZT圧電素子デバイスをRobert Boschと共同開発することで合意したと発表した。BoschはMEMSデバイスの世界トップメーカー(参考資料1)。PZT圧電素子をMEMSメンブレン膜に形成することで、センサやアクチュエータを高性能化できる。

最後に紹介する記事として、モノづくりを推進してきたカシオ計算機が、ソフトウエアにも力を入れ始めたという記事があった。4月9日に日経産業新聞が報じている。電子楽器の販売促進のため、カシオが出版大手のKADOKAWAと共同で立ち上げた音楽レーベル「モノ クリエーション」に所属する歌手が電子楽器を弾きながら歌うというライブショーを2月末に開催した。Appleのアップストアにもカシオのアプリがあるという。このアプリは、作曲を支援してくれるソフト「コーダナコンポーザー」で、鼻歌を吹き込むと自動的に作曲する。もはや電子楽器というハードだけではモノが売れないようだ。カシオは、音楽関係のソフトも開発することで、電子楽器の新市場を切り拓く戦略に変えている。

参考資料
1. MEMSトップ30社ランキング、2014年はBoschが圧勝 (2015/03/27)

(2015/04/13)

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