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Micronを巡る、DRAM投資からIoTまでのトピックス

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先週、日本経済新聞社が「日経フォーラム世界経営者会議」を東京で開催し、その中から半導体メーカーとしてMicron Technologyの経営者インタビュー記事が多かった。旧エルピーダメモリの広島工場に約1000億円を投資し、DRAMの生産能力2割増産する、と11月11日に報じた。MicronはDRAMをIoT市場においても期待しているようだ。

11日の報道によると、Micronは今期38億ドルの投資を計画しており、その内DRAMに半分程度を充てるとしている。広島へ投資はその一環となる。広島工場は3年ぶりの投資となり、従来の25nmプロセスを20nmへと微細化する。広島への投資と同様に台湾においても増産投資するとしている。この背景にモバイルとサーバ向けのDRAMが堅調に推移していることがある。

Micronのマーク・ダーカン氏は、半導体産業では自ら変革を起こさなければ死ぬと述べ、特にIoT(Internet of Things)時代になるとビジネスのアイデアは枯渇することはないと同会議で述べている。IoTからのデータを自律型コンピュータが解析し、個人に有用なデータを抽出するようになる。そのデータを活用して新たな価値を生み出す。それを価値が多様で複雑になったからこそ、一つ企業ではもはや対応できずエコシステムが欠かせないとも説く。

ダーカン氏が述べているIoT技術が先週のニュースで続出した。ロームと神戸大学の吉本雅彦教授グループが共同で、消費電力1/5と小さな心拍数計測センサ(IoT端末)を開発したと発表した。これは、スリープ時に待機電力ではなく、不揮発性メモリを使って完全にゼロにすることでトータルの消費電力を減らす技術。NEDOの支援を受けている。

ロームはさらに、アットマークテクノ社が持つIoT向けゲートウェイデバイスArmadillo-IoTにロームのメッシュメットワーク技術Wi-SUNおよびエネルギーハーベスティング技術であるEnOcean対応の無線モジュールを搭載することで合意した。Wi-SUNは東京電力がスマートメータに採用することを決めたことで注目を集めているメッシュネットワーク用のワイヤレス技術。センサネットワークにおいては、多数のセンサからセンサへと情報を送り最後にゲートウェイを通じてインターネットにその情報を送る訳だが、合意した技術はそのゲートウェイに搭載するモジュールをロームが提供しようというもの。アットマークテクノは組み込みプラットフォームを設計・開発する企業。

14日の日経産業新聞は、IoTビジネスに取り組む東芝、NEC、富士通、日立製作所の状況を伝えた。東芝は、セキュリティの高いネットワーク作りに強いCisco Systemsと協業するという提携を結び、NECはシンガポールの経済開発庁と組み、セキュリティを専門とする人材の育成や蓄電システムの開発、健康管理のサービス開発などを共同で行う。クラウド基盤やアプリケーションソフト、ネットワークまで広い技術を持つ富士通は、IoTプラットフォームを提供する。日立はワイヤレスセンサネットワークを構築し、予防保守のサービスに乗り出す。いずれも、民生用IoTではなく、工業用IoTでB2Bビジネスを行う。ウエアラブル端末のIoTよりも、工業用IoTの方がより現実的でビジネスに合うとNational InstrumentsのフェローであるMichael Santori氏は述べている(参考資料1)。

参考資料
1. National Instruments、ソフトウエアベースの測定器の先に来るものは何か (2014/08/29)

(2014/11/17)

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