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National Instruments、ソフトウエアベースの測定器の先にくるものは何か

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Michael L. Santori氏、米National Instruments社フェロー兼製品マーケティング担当バイスプレジデント

Software-Designed Instruments(ソフトウエアで設計する測定器)を全面的に打ち出しているNational Instruments社。同社の測定器は、コンピュータとソフトウエアを基本として計測部分のみモジュールで構成するというコンセプトだ。最近、よく聞く言葉として「Software-Defined xxxx」がある。時代がNI社に近づいてきたという感じさえある。同社製品開発を指導するフェローにこれからのNIのあり方を聞いた。

米National Instruments社フェロー兼VPのMichael L. Santori氏

米National Instruments社フェロー兼VPのMichael L. Santori氏


Q1(セミコンポータル編集長): NI社は共通のプラットフォームを作り、ソフトウエアを変えてカスタマイズするという発想で創業以来、測定器を作ってきました。 まさに時代を先取りした企業戦略のような気がします。そのコンセプトを確認させてください。
A1(NI社フェロー Michael Santori氏): 創業当初のアイデアVirtual Instrumentsは、標準的なコンピュータの上にハードウエアモジュールを作り、ソフトウエアはカスタマイズするためのツールとしました。この考え方をもっと洗練して進化させてきました。その結果、PXIプラットフォームやCompact-RIOプラットフォームが生まれました。二つのプラットフォームは、基本的に共通のソフトウエアを使えるという考えは同じで、フォームファクタだけが違います。

Q2: 最近、流行の「Software-Defined Instruments」ではなく、「Software-Designed Instruments」と呼ぶのはなぜですか?
A2: モノを設計する場合にはLabVIEWというソフトウエアツールを共通のアーキテクチャとして使います。ハードウエアは、FPGAを使って構成します。FPGAは、ソフトウエアを定めてハードウエアを設計するデバイスです。ソフトウエアを定義してハードウエアを設計する、という意味で、当社はSoftware-Designed Instrumentsと呼びました。ハードウエアを実際に設計することと同じことです。このSDIは当初Virtual Instrumentsと呼んでいた概念とも同じです。

Q3: NIWeek 2014では初日の基調講演から始まって、これからのIoT(Internet of Things)に関して積極的にカバーしていく考えを述べられています。IoTへの取り組みについて教えてください。
A3: これまでの電子機器を見ているとIoTのコンセプトが出てくる前も、機器をスタンドアローンで使うのではなく、さまざまなデバイスとつなげるように出来ていました。Ethernetやシリアルインタフェースなどでつなぐという考えです。
インターネットが普及してきたことにより、全てのモノをインターネットにつなぐという考えになりました。ただし、IoTには民生用のIoTと工業用のIoTがあります。スマートフォンやカメラ、ウォッチなどが民生用IoTです。工業用機器にももっとエレクトロニクスとソフトウエアを使うことでインターネットにつなげようという動きが工業用IoTです。クルマやクレーン車、半導体製造装置などもそうです。
スマホを想像してみればわかりますが、民生用IoTは小さく、工業用は大きい。NIは、計測器よりも大きなものを対象とします。エレクトロニクスとソフトウエアを使って低コストで高性能なモノを小型にします。
顧客がIoTを使ったシステムを作る場合に全てLabVIEWアーキテクチャで作ることができます。この手法は再利用を常に考えてソフトウエアを設計しています。同じプラットフォーム上でソフトウエアを作ることができます。

Q4: これからのNIの方向について、まずハードウエアの視点から教えてください。
A4: ハードウエアの進化の方向は、小型化、コネクティビティ、上位概念の実現です。小型化の究極は、半導体チップ化すなわちSoCでしょう。コネクティビティは、速度や確実性、信頼性などの改良が進むでしょう。無線技術も重要です。

Q5: 上位概念の実現(Higher level tool)とはどういう意味でしょうか。
A5: 上位概念(Higher level)とは、具体的な応用にもっと近づくことです。(ソフトウエアのレイヤーで言えば上位にアプリケーションソフトがくるように)もっとスペシフィックな設計が上位に来ます。当社で言えばLabVIEWは下位にあるソフトウエア汎用品です。
先日発表した、フレキシブルな半導体テスターSTS(Semiconductor Test System)は、半導体専用の測定器です(参考資料1)。しかしその中身は、PXIプラットフォーム(PCI Expressで構成され、いろいろなモジュールを差し込めるた筐体)と、LabVIEW設計ツールです。半導体テストのためのプロトコルは半導体応用向けに内蔵されていますが、基本プラットフォームはこれまでの当社の製品そのものです。この手法は自動車向けや航空機向けのテスターにも成り立ちます。発表したSTSは、ハードウエアとしてはPXIのモジュール構成によって半導体向けに特化したものです。

Q6: 半導体テスターを開発した理由は何ですか。
A6: STSを開発した背景には、半導体チップに集積されるトランジスタの単価が毎年下がっていくのに対して、その性能や機能をチェックするテスターの価格は徐々にではありますが上がっている、という事実があります。性能や機能を追求した測定器は専用機になるから価格が上がります。
当社はテスターの価格を下げたいと考えました。当社の製品プラットフォームでは、機能を付加する場合、PXIプラットフォームに差し込むモジュールを追加するだけで済むのでコストは大きく上昇しません。PXIモジュールに搭載されたチップ(FPGAや標準品)は、通信や自動車などで使われているような業界標準品です。ソフトウエアと、フレキシブルなハードウエアであるFPGAの組み合わせで、共通プラットフォームの上に専用の半導体テスターを作りました。

Q7: 今回のNIWeek 2014でビジュアルを重視したLabVIEWの最新版を発表されましたが、これからのNIにとってソフトウエアはどのように進化しますか。
A7: LabVIEWはもっとビジュアルにして、グラフィカルなシステム設計ができるように改良することを考えています。もともとLabVIEWはプログラム言語から始めました。エンジニアに親しみやすい言語を中心に作ってきましたが、ユーザーはもっと複雑なシステムを好むようになりました。システムレベルのツールや、システムコンフィギュレーションでビジュアルなツールを構成できることを望んでいます。それらをわかりやすくビジュアルに表現します。加えて、もっと優れた解析シミュレーションも求められています。そのカギは、独自のスペシフィックなIPの開発です。当社はIPの開発に注力していきます。


参考資料
1. NI、RF/ミクストシグナルIC向けフレキシブルなテスターをリリース (2014/08/07)

(2014/08/29)

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