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SamsungがGlobalFoundriesと提携する理由

SamsungがGlobalFoundries(GF)と技術提携すると、4月19日の日本経済新聞が伝えた。Samsungは14nmFINFET技術の生産技術を確立したとも伝えており、SamsungとGFの両社が共同で生産できるようになる。TSMCへの追撃が始まる。富士通とパナソニックの半導体新会社設立も決まったようだ。

SamsungとGFは共に、IBM Common Platformアライアンスのメンバーであり、バルクCMOSの先端技術をIBMのプロセスをベースに開発していた。この視点からは両社が共同開発することに対して、さほど大きな問題はなさそうだ。日経は、14nmFINEFETをSamsungが開発したと伝えているが、この技術もIBM Common Platformの一環であった。なぜGFはSamsungから技術供与を受けるのだろうか。

14nmFINFETについて取材した2012年の10月はじめ、GFは10年以上、FINFET技術を開発してきており、14nmプロセスでの実用化には強い自信を見せていた(参考資料1)。ところが、同社は、当時取材相手のシニアバイスプレジデントのMike Noonen氏をはじめ、経営陣をこの1〜2年で刷新した。このFINFET技術の実用化は14nm時代に間に合うのか、疑問視する声もある。

一方、SamsungにとってGFと組むメリットは大きい。SamsungはAppleとスマートフォンを巡って訴訟合戦を繰り広げてきた。スマートフォンの原型となるiPhoneを最初に発表したAppleは、Samsungが市場のトップシェアを握っていることに我慢がならない。Samsungはある時期までiPhone用部品の主要サプライヤーでもあった。Appleは、アプリケーションプロセッサを除き、液晶パネルやメモリなどのコモディティ製品をSamsung以外のサプライヤーから購入する戦略に切り替えた。

アプリケーションプロセッサだけは、設計に3〜4年かかるため、簡単には切り替えられない。このためA7プロセッサまではSamsung製を使わざるを得なかったものの、ようやく次のA8ではTSMCに切り替えると言われている。それも当初はリスク軽減からSamsungとTSMCの2社購買を検討しているようだ。ところが、SamsungとTSMCのプロセスとの互換性はない。しかし、SamsungがGFと組むなら話は違う。SamsungはGFと共にIBM Common Platformアライアンスに参加しており、IBMのバルクCMOSプロセスを共通して使える。一方、量産に強いTSMCは独自のプロセスを開発しており、ユーザーにPDK(Process Development Kit)を提供して自社のプロセスに合わせるように求めるファウンドリビジネスをやってきた。SamsungとTSMCのプロセスは違うのである。

SamsungにとってAppleからプロセッサの注文を打ち切られると、これまでの投資が回収できない恐れが出てくる。何としてもAppleからの注文を確保したい。ファウンドリの相手がTSMCではなく、GFであればこれまでのプロセスの継続性は保たれる。

また、SamsungとTSMCとは犬猿の仲と言っても言い過ぎではない。Samsungがファウンドリビジネスに力を入れ始めた時、TSMCのエンジニアを大量に採用した。AppleがTSMCのファウンドリを使うなら、Samsungとのプロセスとは異なるプロセス構築や物理設計の見直しを迫られる。SamsungがGFと組むなら、GFをセカンドソースとしてAppleに提案できる。AppleがA8プロセッサをSamsungとTSMCに分担させる戦略は本当に成功するだろうか。Samsungは虎視眈々とその間隙を狙っている。

国内では、富士通とパナソニックが今秋、半導体の新会社を設立するというニュースが15日〜16日にかけて報じられた。資本金は500億円で、富士通が200億、パナソニックが100億、日本政策銀行が200億円をそれぞれ出資するという。社長には京セラ元社長西口泰夫氏が就任するとしている。


参考資料
1. GlobalFoundries、10年間のfinFET開発を経て14nmプロセスで実現へ (2012/10/02)

(2014/04/21)
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