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SEMICONジャパン、規模縮小の一方で期待大きい機械部品メーカー

先週、SEMICONジャパン2013が開催された。展示は、幕張メッセのホール1〜6で行われ、国際会議場でセミナーが開かれた。業界で注目された東京エレクトロン(TEL)とApplied Materialsとの事業統合についての作業に入っているという発表があった。

図 東京エレクトロンの東哲郎会長(中央)とApplied MaterialsのMichael Splinter会長(右)、12月4日夜のSEMICONジャパン開幕日のパーティにて

図 東京エレクトロンの東哲郎会長(中央)とApplied MaterialsのMichael Splinter会長(右)、12月4日夜のSEMICONジャパン開幕日のパーティにて


12月6日の日刊工業新聞によると、TELとAppliedは2014年1月中旬に米国証券取引委員会に対して登録届出書を提出し、より詳細な統合内容を明らかにする計画を公表したという。日本経済新聞も、統合に向けた作業チームを10人ほどで編成した旨を伝えている。記者会見の前日に当たる4日の夕方、「プレジデントレセプション」が開かれ、TELとAppliedの会長同士は仲むつまじい様子をアピールしていた(図)。「統合おめでとう」、と声をかけると、「統合作業はこれからだよ」、とAppliedのMichael Spinter会長は述べた。Splinter氏はTEL副会長の常石哲男氏とも一緒に過ごしていた。

SEMICONジャパンの会場規模は、全ホールを占めた以前と比べると、小さくなっているものの、製造装置メーカーに納めるロボットや機械部品メーカーの期待は大きい。6日の日経産業新聞は、ベアリング(軸受け)メーカーの日本精鉱が高速の一軸アクチュエータを出品し、1分間当たり5000回転と従来品より6割高速化した、と伝えた。THKはチリを出さない電動アクチュエータ、日本トムソンはチップマウンタ向けのモジュール部品を、それぞれ出品したと報じた。軸受けやアクチュエータなど機械部品のメーカーは、これまで自動車という巨大な市場を持っていたが、自動車技術は機械・機構からシリコンでより高度な機能を実現する方向へと移しつつある。このためカーエレクトロニクスが半導体メーカーにとって大きな市場を形成しつつあるのだが、機械部品メーカーにとっては半導体製造装置市場が成長市場と位置付けられている。

SEMICONジャパンの会場は来年、幕張メッセから東京ビッグサイトに移る。SEMIジャパンは、数年前からビッグサイトの会場の空きを待っていたが、ようやくそのスロットをもらえたとする。しかし、会場移転に関しては、ネガティブな報道が多くて困る、とSEMIジャパンの嘆きの声も聞こえる。

12月3日には、WSTS(世界半導体市場統計)が2013年の世界の半導体出荷額が前年比4.4%増の3043億ドルになりそうだいう見通しを発表した。市場調査会社のガートナーも2013年の世界半導体売上額が前年比5.2%増の3154億ドルになるという見通しを4日発表した。ガートナーと同様、市場調査会社のIHSグローバルは2013年の半導体売上額が前年比4.9%増の3179億ドルと見通しを立てている(参考資料1)。三者の見通しは微妙に違うものの、3000億ドルを超えるという点では一致している。昨年まではWSTSだけが3000ドルを超えていなかった。いずれの機関の予測も、世界の半導体売上額は過去最高とする。

先週は電池のニュースも多かった。5日の日経が、住友電気工業が来春までにナトリウムイオン電池をサンプル出荷すると伝えた。体積11cm×14cm×4cmの板状のセルにして電機メーカーに納める。これまでは200℃くらいに温めないと使えなかったが、このセルは20℃の室温で動かすことができるとしている。産業技術総合研究所もナトリウムイオン電池やキャパシタの開発を行っている、という寄稿が5日の日刊工業に掲載された。リチウムは海に豊富にあるとはいえ、ナトリウムに比べると産出地が偏在していることがビジネスリスクとしてあると産総研は見ている。

最後になるが、ソニーがルネサスの鶴岡工場を買収交渉に入るというニュースをロイターが発表し、日経と日刊工業がそれぞれ4日の記事に取り上げていたが、ルネサスは当社から出たニュースではないというコメントを発表している。

参考資料
1. 2013年の世界半導体ランキング見通しをIHSグローバルも発表 (2013/12/06)

(2013/12/09)
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