新iPhone効果か、スマホ向け電子部品が好調
スマートフォン市場に向けた電子部品や半導体が好調だ。村田製作所や京セラなど国内大手電子部品メーカー6社の7〜9月期の受注総額が四半期ベースで過去最高となった、と10月22日の日本経済新聞が報じた。また、台湾でも9月における海外受注額が前年同月比2%増の384億ドルに上ったと日経産業新聞が報じた。
村田製作所の7〜9月の受注額は前年同月比29%増の2300億円となり、日東電工は同6%増の1100億円前後、TDKは同2%増の2200億円、京セラは同6%増の2100億円弱になった模様だと日経は伝えている。受注額が増えたのは、サムスンやアップルだけではなく、中国の華為技術(ファーウエイ)やZTEなどへの出荷も増やしたため。
スマホは今、電池寿命の争いとなっている。少しでも長く使えるように電池の寿命を延ばすため、電池を置くスペースを広げる、半導体製品やディスプレイなどの消費電力を下げる、といった対策を施している。日経エレクトロニクスがiPhone 5sと5cを分解したところ、メインの回路基板が本体内に占める面積を6~10%削減し、電池の容量を8%大きくしたことがわかったと、28日の日経産業は伝えている。なお、iPhone 5sと5cに使われる部品には共通するものが多いという。
基板面積を少しでも小さくするための技術開発として、セミコンポータルでもSilego社のFPGAを紹介したが(参考資料1)、これは基板へ搭載する部品をできるだけまとめる技術である。ムラタや太陽誘電は0201部品をすでに開発、CEATECでも注目を集めた。0201とはコンデンサや抵抗などのチップ部品の大きさを表す指標の一つで、約0.2mm×0.1mmの大きさの部品を表している。これまでの0402部品よりもさらに小さい。コンデンサではムラタや太陽誘電、TDKなど、コイルにはTDKや東光の製品が使われているという。ムラタは送受信モジュールなども設計製造しており、SAWフィルタを用いたフロントエンドモジュールがみられたとしている。
台湾の海外受注額は、3カ月連続で前年実績を上回り、スマホの受注が後押ししているという。スマホやタブレットなど情報通信製品の受注額が前年同月比16.2%増の110億5000万ドルに達し、単月の数字としては過去最高だったとしている。鴻海(ホンハイ)精密工業などが組み立てを請け負っているiPhoneの受注が本格化したと見ている。半導体の受注も増加している。
脱パソコンの動きは、AMDとインテルの業績にも反映されている。AMDの7~9月期決算は最終損益が4800万ドルの黒字、と5四半期ぶりに黒字転換を果たしたことを22日の日経産業が伝えている。売上額も前年同期比15%増の14億6100万ドルになった。AMDはパソコン向けのCPUから、組み込みシステムのCPUやグラフィックスコアも集積したAPU(アプリケーショんプロセッサユニット)などへ力を移しており(セミコンポータルでも最新情報を近いうちにレポートする予定)、今期は特にマイクロソフトとソニー・コンピュータエンターテインメントのゲーム機への採用によるところが大きい。
インテルもパソコンから他の分野へシフトしている。ハイエンドのサーバー向けが12%増えた。クラウドコンピューティングに向けデータセンターの新増設が相次いだことが大きい。その内クラウド向けが40%増、ストレージ向けは20%増になったとしている。
AMD、インテルとも、パソコン以外の組み込み系にx86アーキテクチャを用いたCPUやAPUに力を入れている。AMDはさらにARMアーキテクチャを用いた64ビット組み込みCPUも予定している。
最後に気になる動きとして、23日の日経が報じたトピックスを紹介する。フェイスブックとアップル、グーグルが次々と、イスラエルのアプリケーションソフトウエアのベンチャー企業を買収している。米国はイスラエルとの関係が深い。イスラエルのソフト製品を米国企業のモバイル端末やサービス、あるいは半導体チップに組み込むのであろう。
参考資料
1. 大手顧客から注文を打ち切られても、新製品で成長を伸ばすSilego社 (2013/10/18)