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東芝、エルピーダが設備投資を再開

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この1週間で久しぶりに明るい話が登場した。東芝とエルピーダがスマートフォンの好調を受けて投資を再開した。7月18日の日本経済新聞によると、東芝はNANDフラッシュメモリの設備増強に最大300億円を投資、エルピーダも台湾のRexchipの工場において、モバイルDRAM生産を、4月の300mmウェーハ1万枚から年末までに4万枚/月に増産する。

東芝は四日市工場の第5棟に最新設備を導入、14年度上期にNANDフラッシュの増産を始めると発表している。昨年春にサムスンが減産したことを受け、同年夏に東芝も3割の減産に踏み切った。このため、今年に入ってようやくNANDフラッシュの単価が回復し、供給不足が目立ってきた。加えて、NANDフラッシュでは、金融システムからの強い要請に従ってサーバを従来のHDDからSSDへと切り替えようとする動きも始まっている。先週、日本ヒューレット・パッカードは、SSD4台構成の96Tバイトのストレージ装置を発売した。従来型よりも処理速度は4割速いという。

スマホやタブレットなどモバイルデバイス用のストレージにはNANDフラッシュが定着しているが、DRAMはパソコン用からモバイルデバイス用へ需要が増えており、DRAMの単価は回復しつつある(参考資料1)。今年の第2四半期には前年同期比42%増の2.42米ドルになった。今年の第3、第4四半期ともそれぞれ同50%増、同46%増で回復するとIC Insightsは見ている。

東芝は、NANDフラッシュの先のメモリデバイスとして、MRAMもReRAMも開発しており、18日の日刊工業新聞によると、2014年からMRAMをサンプル出荷し、ReRAMの出荷は2015年以降になる見込みだという。

18日の日経によると、ソフトバンクが燃料電池事業に参入すると発表した。同社は発電事業としての燃料電池を想定しているが、クルマ向けの燃料電池の開発も活発になっている。ホンダとトヨタが燃料電池車の実用化を進めている。21日の日経には「量産間近に」という見出しの記事が掲載されたが、燃料電池車には水素ステーションの設置や、高価な反応触媒である白金をいかに減らすか、といった課題は多い。ただし、Liイオン電池は回生ブレーキや始動時の動力アシストなど燃料電池車でも必ず使われるため、開発を続けるだけではなく、それに欠かせないバッテリマネジメントや定電流回路など、Liイオン電池に使われる半導体の需要は減らない。

18日の日経産業新聞には、三菱電機がパワー半導体を海外で拡販するというニュースが掲載された。2012年度は中国の家電や欧州の発送電機器、鉄道車両向けが落ち込んだが、2013年度はそれらの在庫が一掃され、需要が回復すると三菱は期待している。国内需要は再生可能エネルギーの買い取り制度が定着しており、安定だが、海外をこれから伸ばしていきたいとしている。パワー半導体の需要の高まりに応じて、ADEKAはパワー半導体向けの高温用の封止剤を開発したと17日の日経産業が伝えた。250℃まで耐えられ、2016年度までに量産するという。

NTTファミリの代表的企業であったNECが、スマホから撤退する見通しだと18日の日経が報じた。スマホそのものは、世界的にここ5年以上伸びていく成長産業である。にもかかわらずNECはNTTドコモのファミリから抜けていくことになる。

スマホは成長産業とはいえ、スマホ端末だけがビジネスではない。たとえばサムスンは、端末は、いずれ中国の華為技術やZTEに抜かれるとみて、BYOD(bring your own device)といったモバイル機器の管理分野にも乗り出している。誰もが個人のスマホを職場にも持ち込む(bring)時代には、職場のコンピュータのセキュリティを守るために、スマホそのもののセキュリティをハードウエアから堅固にするという技術を開発している。この分野でモバイル端末管理ソフトメーカーのAirWatch社と提携している。伸びているスマホの分野でいかにして自社を伸ばすかが、今問われている。

参考資料
1. DRAMの平均単価が上昇、年間では前年比28%増の市場に (2013/07/13)


(2013/07/22)

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