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セミコンジャパンとEmbedded Technology展が重なった先週12/1-3

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先週は半導体製造装置・材料のビッグイベントであるセミコンジャパンと、半導体アプリケーション顧客向けの最大のイベントであるEmbedded Technology(ET)2010展が同じ日程で12月1〜3日間、開かれた。二つのショーからのニュースはもちろんあったが、規模はどん底だった昨年からまだ回復していないレベルにとどまっている。

セミコンジャパンの出展社小間数は、昨年の2204小間に対して2010年は2348小間と6.5%増え、出展社・団体数は昨年の924社から2010年は904社に減少した。一方のETでは小間数は昨年の724小間から757小間へと4.6%増えたが、出展社・団体数は昨年の384社から2010年は358社に減った。共に小間数は若干増えたものの出展社が若干減るという共通の問題が浮き彫りとなった。

半導体メーカーはこれまで大きな規模で出展していたCEATECへの出展を止め、ETに切り替えた所が多かった。現実に、インテル、TI、ルネサス、アームなどは大きなブースを確保し、そこへの来場者は多かった。いずれもブース内はスムースに歩けなかった。ただし、全体でみると回復はさほどしていない、ということになる。

全体の来場者の数を最初の2日間についてのデータで見る限り、セミコンジャパンが対前年比7.6%増の4万5400人だったのに対して、ETは1.6%減の1万3917名であった。ただし、セミコンには同時開催された国際自動車通信技術展の人数も含まれている。

この二つの展示会を見ているとやはり技術の流れはある程度見えてくる。ETは半導体が製品を作って売るだけのビジネスはもう終わったことを伝えている。半導体は設計時間を短くするための開発ツールを完備しなければ顧客はつかない。すなわちサービス業務も提供しなければならなくなってきている。先週のニュースでは、その一つ、「ルネサスエレ、簡単にLED照明設計できる評価ボード開発」という記事を12月1日付けの日刊工業新聞が採り上げている。マイコンやFPG Aなどのプログラマブルロジックデバイスなどは開発ツールの提供は以前から当たり前だが、LED照明のような簡単なデバイスまでも調光や色の微調整ができるような評価ボードを提供するようになってきた。海外メーカーは開発キットや評価ボードと言われるハードウエア、ソフトウエア開発ツールをすでに提供してきたが、国内メーカーでもツールの必要なデバイスが拡がってきたことを示している。

セミコンでは、12月2日付けの日経産業新聞に「半導体製造装置各社、『微細化』対応で新製品、3D実装や環境負荷低減」という見出しの記事があるが、微細化はこれまでのセミコン展示会での動向どおりであり、むしろ3D関連の装置が新たなMore than Mooreとして微細化ではない手段により半導体に価値を織り込もうという動向になっている。生産効率の向上も大きなトレンドとなっている。それをSEMIテクノロジーシンポジウム(参考資料1)において、SEMIのアナリストであるDan Tracy氏は、「300mmウェーハの本格的普及期を迎え、ICの生産効率が上がったために装置市場は、従来の15%/年から12〜13%/年に落ちる」とみている。

二つの半導体のビッグショーからは回復が遅れている様子がうかがえるが、半導体ビジネスはこれからもやはり伸びることがはっきりしている。米オン・セミコンダクターに買収が決まった三洋半導体を、三洋電機が2年間最大250億円支援するというニュースが12月1日の日経新聞で報じられた。売却は2011年1月1日であるため、支援は今年の12月末までのはずだったが、売却から2年間とし、その間三洋半導体の業績が改善した場合、オンセミ側から一定の金額を受け取るという条項も盛り込まれているという。どうやら三洋電機とその親会社のパナソニックは半導体ビジネスに「未練」を持っているということだろうか。

ETがセミコンジャパンと日程的にぶつかったのは、11月に開かれたG20サミットの影響でパシフィコ横浜が使えなかったためだとされている。

参考資料
1. 2010年の半導体製造装置・材料市場は大きくリバウンド、11年は4%の伸び (2010/12/02)

(2010/12/06)

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