Semiconductor Portal

» セミコンポータルによる分析 » 週間ニュース分析

パワー半導体の話題が活発、1000A級の発電用IGBTから数AのパワーICまで

パワー半導体のニュースが目白押しの1週間だった。太陽光発電や風力発電など再生可能エネルギーを発生させる発電所から、それを効率よく送るだけではなく平準化する送電線網のスマート化など、電力エネルギーに関係する市場はこれから膨れ上がる。この電力を直接制御するのがパワー半導体、その入力であるゲートをドライブするトランジスタやICも必要となる。そのICを制御するのがマイコン。電力市場は半導体応用の宝庫だ。

パワー半導体と一口に言っても数Aのものから1000Aクラスのものまであり、全て再生可能エネルギーに使える半導体ではない。一方で、消費電力を下げるインバータ用のパワートランジスタ、電源用のトランジスタもある。トランジスタをIC化したパワーICもある。

先週発表のあったパワー半導体で最も大きな電力を取り扱うのが、三菱電機が風力・太陽光発電システム向けに開発したIGBTモジュールだ。2品種あり、いずれも2素子構成だが、それぞれ2500A/1200Vと1800A/1700VのIGBTモジュールだ。ここまで大きな電流を扱うとなると、発熱も大きいため水冷を利用する。

ルネサスの電力ロスを抑えたパワー半導体とは、絶縁型DC-DCコンバータの最終段に使うパワーMOSFETのこと。電圧は40V〜100Vのファミリーで定格電流は40A。サーバーや基地局用の通信機に供給する電源用のパワートランジスタである。ゲート-ドレイン間の寄生容量を減らし、スイッチングロスを減らしたのが特長。

シリコンよりも高温で使えるSiCやGaNのワイドギャップ半導体を利用するパワートランジスタの試作発表もあった。12月7〜9日に開かれたIEDM(International Electron Devices Meeting)においてNECグループがGaNパワートランジスタ、パナソニックがGaNのインバータICを発表した。共に富士通研究所が開発したHEMT構造のトランジスタを使い、高耐圧・低オン抵抗を実現している。共にSi基板の上にGaNを成長させるという方法で大口径化を目指す。

昭和電工は表面の平たん性が優れるSiCの結晶ウェーハを量産化することを表明、レーザーテックは透明なSiCウェーハの欠陥を検査する装置を発売、SiCデバイス製造を後押しする。

太陽電池セルも半導体フォトダイオードであるため、半導体メーカーが太陽電池に進出することは驚くことではない。ただ、理想的な半導体デバイスが順方向電圧VFをできるだけ小さくしたいのに対して太陽電池はVFの大きなフォトダイオードを要求する。光が当たったらすぐに電子正孔対が発生し、しかも長持ちさせる(少数キャリヤのライフタイムをできるだけ長く)、かつ順方向電圧も高くしたい。これが太陽電池に要求される特性であり、電流のスイッチングを主目的とするデジタルやアナログのLSIとは違う仕様となる。いわば出来損ないのフォトダイオードと言えないこともない。

先週は台湾のTSMCが台湾の太陽電池セルメーカーのモーテック社に20%出資したというニュースがあった。米国でも半導体チップメーカーのサイプレスセミコンダクターが太陽電池セルメーカーを傘下に収めている。サムスンも太陽電池に進出する。

電力網の新しい形態としてスマートグリッドへの展開をにらみ、電力メーター用の半導体チップの開発にNECエレクトロニクスが力を入れている。単なる電力メーターではなく、双方向でさまざまな機能も設けるスマートメーターにも展開するようだ。スマートメーター用のシステムLSIを開発する。

11日の日経産業新聞で報じられた米リニアテクノロジーのバッテリー電圧監視ICは、自動車用リチウムイオン電池のモニター用のパワーIC「LTC6801」である。リチウムイオン電池は1セルで3〜4Vしか電圧を発生しないため、自動車用では直列に100個近く接続し350V程度まで昇圧する。その時にセル1個1個の電圧をモニターしバラつきを抑え、信頼性の劣化によるバラつきを抑えるように制御するためのICである。IC1個で最大12個直列接続されたセルをモニターできるため、自動車1台当たり8〜10個使われる計算になる。昨年発表したLTC6802は大量購入時でも1000円程度の単価であり、今回はその半分以下の廉価版となる。

(2009/12/14)
ご意見・ご感想