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自社は得意な技術の開発に専念、一部の技術は外部購入で開発期間を短縮

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8月お盆休み明けの週は比較的静かな週だった。その中で、グローバルな協業を進めている企業のニュースが相次いで発表された。8月19日に日本以外の企業が、外国企業との提携や外国企業との関係を通じてビジネスモデルを変えるといったニュースを紹介したが、他にもグローバルな提携が勢いを増している。

NECエレクトロニクスは、米国のデジタルメディア企業であるDivX社の持つDivX Plus HD技術をライセンス購入し、NECエレの持つデジタル映像向けSoCプラットフォーム「EMMA」に搭載する。この提携によりEMMAチップを使うユーザーは、最大1080pのDivXビデオやハリウッドコンテンツにも対応できるソフトを流せるビデオ機器を設計製造することができる。「DivXと協力することで最新のDivX H.264デジタルビデオ技術をEMMAチップに搭載し顧客に付加価値を提供することができます」とNECはコメントしている。

この話をなぜ採り上げたか。国内外を問わず、優れた技術があれば無理に自社開発せず外部からさっさと購入するほうが今の時代では勝ち組になれるからだ。同じような技術を開発しようと思えば日本の大手半導体メーカーなら開発できるだろう。その開発が1〜2ヵ月以内で完了できるなら自社開発でもなんとか行けるかもしれない。しかし、半年以上かかるなら自社開発を避け、外部から購入する方が賢明だ。開発期間が長くなり市場投入のタイミングが遅れてしまい、肝心のビジネスを失ってしまうからである。

今回、NECエレは優れた技術をさっさと買い、自社の得意なEMMAに乗せるといったウィン-ウィンの関係を築いたことはビジネス機会をしっかり理解しているという意味で評価できる。こういった手法こそ、勝ち組へ変身できる方法であろう。自社開発にこだわりすぎると、ビジネス機会を失ってしまう。開発に半年もかかるようでは技術が完成した時にはもはやそのチップは売れないからだ。

6月にリリースされた米アップルのiPhone 3GSに搭載されたサムスンのアプリケーションプロセッサには、英ARMのプロセッサコアCortex-A8や英イマジネーションテクノロジーズのグラフィックスコアSGXシリーズが使われていたことが明らかにされているようだが、サムスンが外部からコアをさっさと購入しアプリケーションプロセッサの開発に専念したことがiPhoneの採用につながった。

この他のグローバル化の動きでは、富士通が無料OSのLinuxを販売している中国のアジアナックス社と協業したと発表。中国をはじめとするアジアでのLinuxサーバーの拡販を目指すとしている。富士通のPCサーバーにはLinuxサーバーもあるが、中国版Linuxサーバーとしてアジアナックス版サーバーにも対応するというもの。ここでは中国の販促を利用する。

製造装置では、住友精密工業は米Aviza TechnologyからMEMS事業を買い取ることを発表した。Avizaはチャプター11(日本の民事再生法に相当)を申請中で、買収しやすい企業である。対象事業はPVD成膜装置で、エッチング装置はすでに持っているという。MEMS事業を強力にしたいとの狙いであろう。

(2009/08/25)

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