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半導体ICの設計ツールやIPビジネスが2024年2Qに18%成長

EDA(Electronic Design Automation)ツールや半導体IP(Intellectual Property)の市場実績を表すESD(Electronic System Design)産業の売上額が2024年第2四半期(2Q)に前年同期比18.2%増の46.86億ドルに達した。SEMIのESD Allianceが発表した。ESDの各部門全てでプラス成長をもたらしている。

ESD 2Q24 製品別・地域別売上 / SEMI ESD Alliance

表1 ESD産業の回復を示す2024年第2四半期の市場 出典:SEMI ESD Alliance


ここでのESD産業は、半導体やチップ実装用プリント回路基板の設計ツールやIP、サービスの合計を表したもの。一般に言えることだが、全てのものづくりは設計から始まる。半導体設計では、数10億トランジスタを集積したICはもはや珍しくなくなった。例えば、Nvidiaの最新GPU(グラフィックスプロセッサ)は1080億個ものトランジスタを集積したチップであるが、自動化ツールなしでは設計できない。

ESD産業の製品別内訳(表1)をみると、半導体IPの売上額が最も大きくなり16.8億ドルとなった。1年前と比べた成長率は33.9%増となっている。これまで最大の分野だったCAE(Computer-Aided Engineering)の売上額16.46億ドルを抜いた。

また、地域別(表1)では米国における売上額が最も高く、20.3億ドルとなっている。半導体ICを設計している企業がやはり増えており、これからもイノベーションがやはり米国から生まれてくることが予想される。日本でESDツールの売り上げが3億ドルしかなく少ないことは、日本から新しい半導体IC製品が少ないという意味である。ただ、救いは前年同期比でみる伸びは日本が最大の26.4%増であることだ。これから日本でICの新製品が多数生まれてきて、日本の半導体が復活することを願う。

ESD産業全体としてプラス成長であるということは、各種のツールやIPを使った新しい半導体ICを設計する事例が増えているという意味である。そして、米国とアジアでの売り上げが最も多いということは、1〜2年後の半導体IC製品が、それらの地区から大量に出てくることを表している。


ESD市場の成長 / SEMI ESD Alliance

図1 ESD産業の売り上げ規模の推移 出典:SEMI ESD Alliance
 

図1のグラフからはまだ日本の売上額が小さすぎて、その立ち上がりは見えない。また2023年3Qにこれまで最高額の売り上げを記録しているが、どうやら一時的な増加のようだ。SEMIではその分析を発表していない。同年4Qには大きく落ちたものの、その後は着実に増えて行っていることから、ESD産業は半導体と共に成長していくことを示している。

参考資料
1. 「LSI設計ツール、世界市場は順調に成長するが、日本はフラット」、セミコンポータル、(2024/07/17)

(2024/10/08)
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