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LSI設計ツール、世界市場は順調に成長するが、日本はフラット

2024年第1四半期における世界のESD(電子システム設計)市場は前年同期比14.4%増の45億2160万ドルに達した、とSEMIのESD Allianceが発表した。ESD Allianceは電子設計市場のデータを収集、四半期ごとにレポートしている団体。2023年第3四半期に記録したこれまで最高の47億ドルには届かなかったが、前四半期よりも2.2%増えている。

分野別・地域別1Q24売上と成長率/ SEMI ESD Alliance

表1 LSI設計ツールのビジネスは順調にのびているが・・・ 出典:SEMI ESD Alliance


EDA(電子設計自動化)は、特に高集積のLSI設計や検証に欠かせないツールを提供する産業。LSIの先端パッケージング技術にプリント回路基板技術が導入されるようになってから、SEMIと一緒になった。SEMIに入ってからEDA(Electronic Design Automation)産業とは言わず、ESD(Electronic Design System)産業というようになったが、SEMIの世界ではデータ収集の規格であるEDA(Equipment Data Acquisition)と混同しやすいためのようだ。ただ、ESDでさえ、エレクトロニクスの世界では静電破壊(Electronic Static Discharge)のことを指すこともある。ここではSEMIが定義しているESD業界という言葉を使う。

長年、Mentor Graphics(現Siemens EDA)のCEOを務めてきたWalden Rhines氏は、現在SEMI EDMD(Electronic Design Market Data)レポートのエグゼクティブスポンサを務めているが、今でもコメントの言葉では、EDA業界という言い方をしている。2024年第1四半期では、PCB(printed circuit board)とMCM(multi-chip module)部門以外は全て2桁成長しており、マイナスの分野はなく、強い成長が続いていると、Rhines氏は述べている。

ESD産業は2020年からも順調に成長しており、2023年の第3四半期の一時的な急成長を除き、着実に成長し続けているといえる(図1)。


1Q20から1Q24のESD市場 / SEMI ESD Alliance

図1 ESD市場は着実に成長している 出典:SEMI ESD Alliance


ただ、オレンジ色で示した日本におけるESD産業の伸びは全くなく、ほぼフラットな状態が続いている。これは、日本では設計ツールを使う人が少なく、それを強化するための方策がなされていないことを示している。つまり半導体ICを設計できる人材は極めて少なく、半導体設計の人材育成が急がれる。

参考資料
1. 「IC設計ツールESD産業は2023年でもずっとプラス成長」、セミコンポータル、(2024/01/11)

(2024/07/17)
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