ICの稼働率が回復途上、製造装置の売れ行きも鈍いが24年の半導体は好調に
2024年の世界の半導体市場は、2023年第4四半期の実績から2024年第1四半期の見通しはかなり明るくなりそうだ。SEMIが市場調査会社のTechInsightsとパートナーシップを組んで調査したSemiconductor Manufacturing Monitorは、電子機器の販売額、IC販売額から工場稼働率の上昇傾向を予想している。

図1 IC販売額の推移 出典:SEMIとTechInsights
2023年第4四半期(4Q)における電子機器の販売額は前年同期比1%増となり(図1)、2022年後半以来、初めてプラス成長を見せた。この勢いで2024年第1四半期(1Q)には同3%成長になると予想する。23年4QにおけるICの販売額は、需要が少し上がり在庫調整が進んだことで、同10%を超えた。24年1Qには18%成長になりそうだという。
半導体メーカーの設備投資と工場稼働率は、24年1Q時点ではゆっくりとした回復に留まっているだろうと見ている(図2)。メモリ向けの設備投資は前年同期比で10%増、前四半期比で9%増としており、ようやく増えてくるという動きを表している。メモリ以外のICへの投資は、前四半期比では16%増と増えているが、前年同期比ではマイナスのままだと見ている。
図2 ICの在庫(インベントリ)と稼働率 出典:SEMIとTechInsights
製造ラインの稼働率は、2023年4Qでは66%で、2024年1Qには70%に上がるとのことだが、ゆっくりした動きである。生産能力が23年4Qに1.3%上がったものの、24年1Qでは上がった分がちょうど埋め合わせするだろうと見ている。成長を見込んで投資された2023年の装置販売額は2024年の前半には稼働することはないだろうという。毎年前半は通常、季節的に静かな時期だからである。
「電子機器とIC市場は、2023年のスランプから回復しつつあり、今年の成長が期待されている。現時点でのファブの稼働率はまだ低いが、2024年は良くなるはず」、とSEMIのMarket Intelligence部門のシニアディレクタであるClark Tseng氏は見る。TechInsightsの市場分析ディレクタであるBoris Metodiev氏も「半導体の需要は回復しつつあり、IC市場全体は今年成長するが、車載向けと産業向け市場が遅く、アナログの拡大を妨げている。ただ、テクノロジーがクラウドからエッジへと浸透していくのにつれ、AIは先端半導体の巨大なカタリストになるだろう」と述べている。ただ、地政学上の問題が付きまとい、過剰な生産能力を加速するかもしれないとも見ている。
参考資料
1. 「半導体市場、後工程装置市場とも第4四半期から回復へ」、セミコンポータル (2023/11/14)