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大きく変動したファブレス半導体のトップテンランキング

2023年第3四半期におけるファブレス半導体のトップ10社ランキングが発表された。これによると、トップはNvidiaで前四半期比45.7%増の165億1200万ドルで、これまで1位に君臨していたQualcommの73億7400万ドルを大きく離している。3位、4位、5位はそれぞれBroadcom、AMD、MediaTekという順。市場調査会社TrendForceが発表した。

3Q23 Revenue Ranking for Top Ten IC Design Houses / TrendForce

図1 ファブレス半導体のトップ10ランキング 出典:TrendForce


台湾系の市場調査会社TrendForceがまとめたファブレス半導体メーカーの第3四半期の売上額は、純粋にファブレス半導体部門だけを集めた。例えばQualcommにはファブレス半導体部門と特許管理部門とがあるが、後者は排除している。

10社全体では前四半期比17.8%増のプラス成長である。このうち、台湾のNovatekとRealtekが、それぞれ7.5%減、1.7%減とマイナスだが、それ以外のファブレス企業は全てプラス成長している。

毎年第3四半期は、クリスマスシーズンとなる第4四半期に向け、半導体や電子部品を確保しておくため、前四半期より売り上げは伸びる傾向がある。今回も17.8%増の売り上げはこの季節要因に加え、Nvidiaに象徴されるように生成AI向けの需要が活発になっていることが成長要因だという。

1位のNvidiaの45.7%増の165億ドルは、生成AIとLLM(大規模言語モデル)からの需要によるもので、同社のGPUの出荷を待っている顧客が多い。同社の決算期は、8-10月期であり、ここではそのデータを載せている。次の決算期(11月〜翌1月)の見通しも発表しており、それは200億ドル±2%と見ている。2023年2~4月期の売上額はさほど多くなかったものの、それ以降の売上額はすさまじい急成長を見せており、第3四半期に相当する8-10月期だけの世界の半導体メーカーランキングではトップになったが(参考資料1)、次の決算期の見通しから、2023年年間でもトップになる可能性は高い。

前四半期比で成長率が2桁を超えた企業には、ほかに9位のWill Semiconductorと10位のCirrus Logicがいる。それぞれ、同42.3%増の7.52億ドル、同51.7%増の4.81億ドルとなっている。Cirrusは、10位にいたパワーマネジメントICのMPSを追い出した格好になった。

このトップ10社の中には日本企業は1社もいない。日本最大のファブレス半導体企業であるソシオネクスト社は同時期に555億円を売り上げているが、1ドル=142円(今日現在)という超円安のため、ドルに換算するとわずか3.91億ドルにしかならず、トップテン入りは果たせていない。しかし1ドル=100円程度の肌感覚だと5.55億ドルとなり、10位に入る。円安は日本の国際競争力から見ると極めて不利な状態となっている。

参考資料
1. 「最新世界半導体企業ランキング、直近の四半期決算から算出」、セミコンポータル(2023/11/27)

(2023/12/27)

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