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3月の年度末の支払いの影響が4月にもあり回復期とはまだ言えない

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2023年4月における日本製半導体製造装置の販売額は前年同月比9.1%増の3352億9500万円になった、とSEAJが発表した。前月比でもほぼ横ばいの0.4%減であり、製造装置は半導体デバイス製品の販売額ほどひどくはない。前月比が横ばいということは、3月の移動平均の影響を受けていることを示している。

日本製半導体製造装置の販売額推移 (2019年1月-2023年4月)

図1 日本製半導体製造装置の販売額推移


一般に半導体製造装置は、毎年3月に年度末のピークが来る。SEAJの数字が2月には前年同月比で0.1%増、前月比は1.9%減となっており、3月になって前年同月比で9.1%増、前月比14%増となっており、3カ月の移動平均でも急速に上がっている。これは年度末の駆け込み需要ならぬ、駆け込み支払い時期になっているからだ。

したがって3月に異常なほど大きくなるが、4月にはストンと落ちることが多い。ただ、SEAJのデータは3カ月の移動平均値で表しているため、4月単月の数字はもっと下がっていても3月の数字を引きずっているため高めに出る。

3カ月の移動平均では、5月の数字までは3月の数字の影響が出ているため、3、4、5月はほぼフラットになるが、6月には少し落ちるだろう。しかし、フラットであることは落ち込んではいないことを表しており、製造装置の販売額は回復しているのではなく、底からさらに沈むことはないことを表している。

6月に落ちても3月の数字を除き、1月や2月の数字を表していると考えると、底の状態が続いている、と解釈してよいだろう。6月以降に数字が上向けば回復期になりつつあると考えられる。まだ、その兆候はないといえそうだ。

参考資料
1. 「半導体製造装置の販売額は下げ止まったか」、セミコンポータル (2023/02/28)

(2023/05/26)

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