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半導体製造装置の販売額は下げ止まったか

日本半導体製造装置協会(SEAJ)によると、2023年1月における日本製半導体製造装置の販売額は2997憶4400万円となり、前年同月比で-2.1%、前月比で-2.2%という結果だった。半導体製造装置は2022年9月の3809億2900万円をピークに1月まで下がり続けてきた。ただ、1月になり下がり方が緩んできた。

日本製半導体装置販売額推移  / SEAJの発表資料を元にセミコンポータルが作成

図1 日本製半導体装置の販売額(単位は百万円) 出典:SEAJの発表資料をセミコンポータルが作成


製造装置の下がりは少し一服状態なのか、まだ下がるのかは予断を許さない。ただ、3カ月の移動平均値で表していることを考慮すると、下がり方は一服したように見える。とはいえ、2月から良くなるという兆候は今のところないため、注意を要する。

SPIマーケットセミナー(参考資料1)でOmdiaの主席アナリストである南川明氏が述べたように、今年の前半までには在庫状況が安定し、需要も回復し始めるという見方は一般的のようだ。今年の中ごろから景気が回復するという理由の一つとして、Gartnerのシニアディレクター兼アナリストの山地正恒氏は、適正な在庫日数がこれまでの50日から60日に延びることもあるとしている(参考資料2)。つまりこれまでは50日がノーマルだったのに対して60日がニューノーマルになるという訳だ。実は在庫日数のニューノーマルについては南川氏も示唆していた。

在庫のニューノーマルには20年〜21年の半導体不足の影響があり、少なくとも車載半導体に関しては、従来のJust-in-Time方式から在庫を持つという考えにOEM(自動車メーカー)は変わってきている。この事情も在庫延長がノーマルになるという見方を支持している。

短期的には半導体不況になっているが、長期的に半導体が成長することには疑う余地はなくなっている。次の成長に向けてSamsungは投資額を2023年は減らさない方向である一方、TSMCは投資額の減額を述べているものの、大きく減らすわけではなさそうだ。TSMCは昔から、身の丈に合った投資戦略をしてきたことがその背景にありそうだ。

参考資料
1. SPIマーケットセミナー 世界半導体市場、2023年はどうなるか、(2023/02/21)
2. 「Gartner、2023年の半導体市場予測を前年比6.5%減に下方修正」、セミコンポータル(2023/02/22)

(2023/02/28)
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