Omdiaも2022年世界半導体トップ10を発表、Gartnerと比較する
2022年の世界半導体市場と上位10社ランキングを市場調査会社のOmdiaが発表した。Gartnerと同様(参考資料1)、1位はSamsung、2位Intelだが、3位にはSK Hynixを抜いてQualcommが入った。また、5位にはMicronを抜いてBroadcomが浮上した。二つの調査機関の違いは何で決まるのであろうか。
表1 世界半導体メーカーの売上額(単位は百万ドル) 出典:Omdia
Omdia、Gartnerとも半導体製品を作っている企業を網羅しており、TSMCに代表されるファウンドリは含んでいない。半導体市場を見積もるときにダブルカウントになってしまうからだ。つまり、ファウンドリの売上額はファブレスやIDMにとってはコストとして計上される。
また、Omdia、Gartnerが互いにカバーする半導体メーカーの数は必ずしも同じではない。また、WSTS(世界半導体市場統計)でさえ、40社しか加わっておらず、残りの企業は推定して半導体市場を見積もっている。ただし、最大の違いは発表時点だ。Gartnerは1月17日に速報値として発表したが、Omdiaは各社の決算発表がほぼ終わった3月2日に発表した(参考資料2)。今回の2022年半導体ランキングでは、速さはGartnerだが、正確さはOmdiaと見てよいだろう。
半導体市場全体では、Omdiaは前年比0.5%増の5957億ドルと6000億ドルを若干割った程度であったが、Gartnerの速報値では1.1%増の6017億ドルとなっている。
今回のOmdiaのトップテンランキングを見ると、メモリメーカーが予想以上に悪い。純粋のメモリメーカーSK Hynixの売上額は、Gartnerの速報値では前年比2.6%減だったが、Omdiaのそれは7.3%減となっている。同様にMicronの売上額は、Gartnerの3.7%減に対して、Omdiaは7.4%減となっている。Samsungはメモリ以外の製品も少なからずあるため、Samsungの売上額だけでは比較できない。しかもその比率は、2022年には上がってきている。2021年の第4四半期では非メモリ製品比率は26%だったが、1年後には40%にも高まっている。それだけメモリ売上額が大きく下がったということだ。メモリ単価の下落が大きな要因だ。
もう一つの違いはGartnerではNvidiaが含まれていなかったが、Omdiaの最新データでは第8位にランクインしている。Nvidiaの決算期は2月から翌年1月までとなっており、同社の2023年度第4四半期は2022年11月〜2023年1月である。このため、Gartner発表時点では正確な見積もりがまだできなかったと言える。
Nvidiaは、2023年度第3四半期(2022年8〜10月期)にゲーム用のGPUが前四半期の第2四半期の急落に続き失速し、前年同期比17%減、前四半期比12%減の59.3億ドルの売上額に下がった。このため、第4四半期もさらに落ち込む可能性を含んでいたようだ。しかし、米国時間2月27日に発表されたNvidiaの第4四半期決算(参考資料3)では、前年同期比で21%減だが、前四半期比は2%増の60.5億ドル、と下げ止まった。この結果、1〜12月のカレンダー年をベースにした半導体ランキングでは2022年通年で2.3%増とわずかながら成長し、8位に入った。
Nvidiaの下げ止まりでトップ10社圏内を維持したため、Appleが11位以下の圏外に落ちてしまった。それ以外の企業は、ほぼ予想通りで、Gartnerとの差はそれほど大きくはない。
参考資料
1. 「2022年世界半導体ランキングの1位はSamsung、影の1位はTSMC」、セミコンポータル (2022/01/18)
2. "Omdia: 2022, a Record Year for Semiconductors that feels Anything But", Omdia (2023/03/02)
3. "Investor Presentation Q4 FY23", Nvidia (2022/02/27)