シリコンウェーハの出荷面積、過去最高だが飽和気味
2022年第3四半期におけるシリコンウェーハの世界出荷面積は、前四半期比1%増、前年同期比2.5%増の37.41億平方インチと過去最高になった。これまでの傾向(図1)を見る限り、1年間のシリコンウェーハ面積はほとんど増えていないが、減ってもいない。その前の1年間は半導体不足の解消のため少しずつ増えてきた。
図1 シリコンウェーハの出荷面積はやや飽和気味 出典:SEMIのデータを基にセミコンポータルがグラフ化
2021年の3Q(第3四半期)では出荷面積が36.49億平方インチで、その1年前の2020年3Qの31.35億平方インチと比べると、16.4%の伸びを示していたから、この1年はブレーキがかかったような低成長になった。しかし、半導体メーカーは100%近い稼働率で工場を運営しており、低成長というよりも飽和に達したと考える方が適切かもしれない。
また、2022年後半から特にメモリの出荷状況が悪くなった。半導体製品ユーザーやEMS(電子製品製造請負サービス)、流通ディストリビュータなどの在庫が溜まっており、メモリの平均単価が落ちてきている。キオクシアは、同社の主力工場である四日市工場(三重県四日市市)と北上工場(岩手県北上市)において、10月から当面、当社分のウェーハ投入量の約3割を削減する生産調整を行う、と述べている。Micronも同社の2022年度第4四半期(6月2日〜9月1日)の決算報告会で、次の四半期のメモリ売上見通しを、今四半期比36%減の42.5億ドルとしている。
これに対して、ロジックやアナログなどを製造するTSMCは、2022年第3四半期(7〜9月)の売上額202.3億ドルから199〜207億ドルと予想しており、ほぼ横ばいとなっている。それでも22年の設備投資額は前期予想より1割減の360億ドルと見ている。ただし、半導体は中長期的には成長産業なので、新工場建設を23年以降に延期しただけという。
メモリ最大手のSamsungとSK Hynixが次の4Qの見通しを発表していないため断言はできないが、Micronやキオクシア、台湾のメモリ企業(南亜科技)などの動向を見る限り、次の4Qではウェーハ面積が減少する可能性は十分ある。
参考資料
1. 「Siウェーハ面積、ほぼ目いっぱいの状況続く」、セミコンポータル (2022/07/29)