6月の日本製半導体製造装置販売額は前月比7.5%減に
SEAJ(日本半導体製造装置協会)が発表した2022年6月の日本製半導体製造装置は、前年同月比14.1%増の2845億8400万円となった。1年前と比べるとプラス成長ではあるが、前月比では7.5%の減少となった。毎月の北米製半導体製造装置は2021年12月を最後にSEMIが公表しなくなったため、SEAJの発表する数字で景況ぶりを見ていくことにする。
図1 日本製半導体製造装置販売額の推移 北米製半導体製造装置販売額の公表は2021年12月までで、それ以降は停止している
SEMIが発表してきた毎月の北米製半導体製造装置の推移と日本製のそれとは多少のずれはあるものの、似たような傾向を示している。このため日本製の数字だけでも今後の景況を占える指標となる。
大きなズレは年度末の決算期での販売額だ。例えば図1にオレンジ色で示された日本製半導体製造装置の販売額は2021年5月に大きなピークがあり、北米製とは異なる推移を示しているが、これは年度末である3月の支払いが急増した影響を受けたものだ。毎月の数字は3ヵ月の移動平均値で表している。5月の数字は3月と4月、5月の平均値であるため、3月の駆け込み支払の影響を大きく受けている。影響は3月(1月、2月、3月の平均値)、4月(2月、3月、4月の平均値)にも出るため、3月の異常なピーク値の影響が続いていた。むしろ3月単月の異常なピーク値を除くと、順調に推移していたといえる。
また、2022年6月になって下降の度合いが激しくなっている。6月の数字は4月と5月を含めた平均値であるため、4月、5月の推移は順調だといえるが、6月単月は急下降していることがわかる。平均値ゆえに7.5%減で済んでいるが、単月の落ち込みはもっと大きい。今年も年度末3月の3148億7200万円をピークに3000億円超えが3ヵ月続いていたが、6月はその影響がなくなり大きく下がった。
半導体製品の不足が解消されつつあり、在庫はやや過剰気味になっているものの、自動車メーカーは半導体在庫を3〜4ヵ月分を確保しており、それ以上になっているとも伝えられている。新型コロナの変異が進みBA5といった変異種が日本でも80%を超えたと報告されている。またロシアによるウクライナ戦争が長期化し、小麦の輸出が滞り世界中で物価高を引き起こしている。さすがにインフレ気味になってきたため、日本を除く世界各国で利上げする金融政策をとるようになっている。こういった世界全体の経済活動にややブレーキがかかったことになり、消費活動が鈍くなった結果、半導体の最終応用製品の売れ行きが鈍くなった。半導体製品にその影響が現れてきて、半導体製造装置にも陰りが見えてきた。
参考資料
1. 「半導体製造装置の販売額、毎月から四半期ベースに」、セミコンポータル (2022/06/14)