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半導体製造に使う材料の市場予測も上方修正

半導体材料専門の市場調査会社であるTECHCETは、2022年の材料市場は前年比8%増の650億ドルになるとして、半年前の予測(参考資料1)よりも33億ドルほど上方修正した。しかも、来年23年も2%成長、そして2024年には700億ドル、そして26年には780億ドルへと成長を続けると予想した。

Global Semiconductor Materials Outlook / TECHCET

図1 半導体材料の成長性 黄色:シリコンウェーハ、グレイ:パッケージ材料、オレンジ:装置用の消耗材、青:プロセス材料、青の折れ線は成長率をそれぞれ示す 出典: TECHCET


上方修正した最大の理由は、半導体需要が今年前半を通して依然として強く、材料の平均価格が上昇したためとみている(参考資料2)。ただし、ロシア-ウクライナ戦争による材料供給で影響を及ぼす不安定な要素も多い。ロシアは原油と天然ガスの産地であるだけに、半導体関係ではエネルギーと特殊ガス、ヘリウム(He)などもこの地区に依存している。特に今年のHe供給では、ネオン(Ne)ガスやハイドロカーボン(CH化合物)の生産に加えて、この地区が重要な役割を果たしているという。ロシアに対する経済制裁は西側諸国にも負の影響を与えており、これらのガスの供給不足が続いている。

シリコンウェーハでは、供給は限られているが、これは2022年から23年には新規の設備がまだ稼働せず、生産能力が高まらないからだという。それ以外の材料、すなわち希ガスからスパッタリングターゲットなどに関しては、エネルギーや流通のコストの上昇や現材料費の上昇で、コストと価格が上がると見ている。材料を入手しにくくなれば半導体出荷個数は限られてしまう。

TECHCETは今年後半の半導体市場はやはり需要が強いと見ているものの、インフレ懸念と景気後退のリスクが見えているため、需要は一時的に落ち込むのかどうかはまだ判断できないとしている。

米国の半導体市場のゲームチェンジとなる要因は半導体の大型支援となる国家予算CHIPS法案の行方だろうという。議会で最終的に承認されれば、期待は大きいが、半導体製造用材料にも適用されるかどうかという心配である。米国の材料メーカーはCHIPS法案の重要性について議員たちと話し合いしている。特に一般の材料と比べて生産コストが高くなることを材料メーカーは訴求しているという。

参考資料
1. 「半導体プロセス向けの材料市場、2021年は12%成長の578億ドル」、セミコンポータル (2022/01/20)
2. "2022 Semiconductor Materials Outlook:Supply chain limited by Russia / US CHIPS Act a game changer", TECHCET (2022/07/06)

(2022/07/08)
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