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半導体不足をよく表している、シリコンウェーハ出荷面積の推移

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2021年第3四半期におけるシリコンウェーハの出荷面積が前年同期比16.4%増、前四半期比3.3%増の36億4900万平方インチという過去最高を記録した。これはSEMIのSMG(Silicon Manufacturing Group)が発表したもの。ここでは、研磨済みのバージンウェーハとエピタキシャルウェーハ、非研磨ウェーハを含んでいる。

図1 シリコンウェーハ出荷面積の推移

図1 シリコンウェーハ出荷面積の推移


年ごとに推移をみると、2018年がこれまでのピークで、2020年はまだそのレベルに達していなかった。四半期ベースでは2018年の第3四半期の32億5500万ドルがこれまでの最高だった。この出荷面積を抜いたのは、2021年の第1四半期で、これ以来ずっと出荷面積の増加が続いている。最近の半導体不足による需要増を考えると、2021年のシリコンウェーハの出荷面積はこれまでの2018年をはるかに抜くレベルに達しそうだ。

シリコンウェーハは半導体の基本となる出発材料で、出荷面積データの四半期後に半導体デバイス製品として出荷される。シリコンウェーハ出荷面積の動向からも、実は今回の半導体不足がよくわかる。

例えば、今回の半導体不足は、2020年第1四半期における世界各地でのロックダウンで自動車工場が止まったことに端を発することがよくわかる。ロックダウン解除後に各地の自動車工場は新型コロナ対策を打ったうえで工場を再開し、半導体製品を即納入を求めた。しかし、半導体メーカーは在庫を全て吐き出したうえで、新ウェーハを投入し始めたがすぐには稼働率を上げなかった。いつまた納入停止を言われるかわからなかったからだ。徐々に稼働率を上げていったが、2020年第3四半期のウェーハ出荷面積がそれをよく表している。つまり、前四半期よりも少し減っているのである。むしろ、2020年第2四半期は出荷面積が大きすぎてブレーキをかけた、ともとれる。

しかし、2018年の第2・第3四半期よりも本格的にウェーハ出荷面積が増え始めたのが2020年第2四半期からで、第3四半期は少し減らしたものの、第4四半期はそれよりも少し増やしてみた、というレベルに読める。ウェーハ出荷面積が本格的に増加傾向を示したのは2021年の第1四半期からである。車載半導体不足が顕在化し始めた2020年11〜12月ころと符合する。

半導体不足はまだまだ続きそうだ。SEMI SMGグループの会長であるNeil Weaver氏は「シリコンウェーハの需要は相変わらず高い。数年後には新工場で生産能力が上がるだろう」と述べている。

参考資料
1. 「2021年第2四半期のシリコンウェーハ出荷面積は過去最高を連続更新」、セミコンポータル (2021/07/29)

(2021/11/05)

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