2019年のシリコンウェーハ面積は18年の6.3%減でも2017年よりは増加
SEMIは、2019年に出荷されるシリコンウェーハは、前年比6.3%減の117億5700万平方インチの面積になりそうだと予測を出した。シリコンウェーハは、2020年には安定になり、2020年、21年と着実に成長していく、という見通しを発表した。
図1 シリコンウェーハの出荷面積の推移 2019年は6.3%減だが2017年よりは多い
SEMIが発表したシリコンウェーハ面積は、2017年には116億1700万平方インチであったため、19年の面積が前年よりも減ったとはいえ、メモリバブルの17年よりは1.2%増と増えている。ここでも半導体の回復基調がみられるという訳だ。
半導体市場は、前年比13〜14%減となる予想が多くの市場調査会社から発表されているが、シリコンウェーハの出荷面積は半導体市場ほど浮き沈みが激しくない。加えて、リーマンショックの影響を被った時の2009年には、シリコン面積は同17.6%減と大きく落ち込んだ時と比べるとさほどでもない。
この背景には、2017年、18年がメモリの生産量をさほど増やさずに単価の値上がりでメモリメーカーが大儲けしたメモリバブルだったことがある。特にDRAMは2017年に生産枚数をほとんど増やさなかった。ただし、NANDフラッシュは64層の3D-NANDの生産立ち上げで歩留まりが悪かったために生産枚数を増やしたが、2018年に入ると歩留まりが改善したため、ウェーハ投入枚数を従来通りにすると生産量が増えたために値下がりが始まった。18年にはDRAMの生産枚数も上がっただけではなく、メモリ以外のチップ製品の品不足も目立ってきたため、ウェーハの生産枚数は増えた。
2019年は在庫調整に追われてきたが、メモリ以外は少しずつ需要が増え始めた。ファウンドリメーカーの状況から、このことは見えている(参考資料1)。ファウンドリでは、1位と2位のTSMCとSamsungだけが2019年の第3四半期は1年前と比べてプラス成長で、他のファウンドリは全てマイナス成長である。ただし、マイナス成長と言っても多くのファウンドリが6%減程度であり、傷は浅い。アナログをメインのサービスとしているTowerJazzは3%減にとどまっており、回復基調を表している。
プラス成長のTSMCとSamsungは、スマートフォン向けの7nmアプリケーションプロセッサを製造しているためにこの秋からの新製品に向けてプラス成長となっている。7nmプロセスでの売り上げが大きく貢献しており、スマホ向けの新しいプロセッサの需要と共にプラス成長が見込まれている。
参考資料
1. TSMCの7nmプロセス売り上げが急伸 (2019/09/27)