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IHSも2019年世界半導体企業トップ10社ランキング

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2019年前半の世界半導体企業トップ10社ランキングをIHS Markitが発表した(参考資料1)。トップはやはりIntelが返り咲き、前年同期比1.7%減の320億ドルとなった。2位は33.4%減と売上額を大きく落としたSamsungで252億ドルとなった。3位もメモリメーカーのSK Hynixで34.7%減の114億ドルとなった。

表1 2019年上半期の世界半導体企業トップ10社 出典:IHS Markit

TOP 10 semiconductor supplier growth rates by revenue (in millions USD)


世界の半導体市場全体は、同13.9%減と2009年のリーマンショックの時の26.5%減に次ぐ落ち込みとなっている。落ち込みの最も大きい企業はメモリメーカーで、メモリ上位3社は、30%前後の減となっている。メモリの中でも特にDRAMメーカーはSamsungをリーダーとして生産数量を増やさず単価の値上がりで売上額を増やしてきたため、その反動は大きい。とはいえDRAM各社はまだ、赤字にはなっていない。

東芝が東芝メモリと東芝デバイス&ストレージ社に分かれたため、10位から消えた。また、IC Insightsの発表(参考資料2, 3)にはファウンドリ企業も含まれているが、半導体売上額としてはダブルカウントになるため、IHSはファウンドリを除いている。半導体市場を評価することを主眼としているからだ。

売上額が増えた企業はBroadcomだけであり、同社は昨年、企業向けソフトウエアのCA Technologiesを買収しており、その影響とみられる。BroadcomはセキュリティソフトウエアのSymantecの企業向けセキュリティ事業部門を8月に買収することを表明しており、半導体チップにこれらのソフトをどのように折り込むのか、期待される。

メモリ以外の製品別の成長率をみてみよう。マイクロプロセッサとマイコンを含むマイクロ部門では4.2%減、ロジックICは4.8%減、アナログICは6.1%減、個別半導体は1.9%減、センサとアクチュエータが2%減、光部品だけがプラス成長で1%増となっている。

半導体を購入する市場別に見ると、データ処理部門が21.9%減と最大で、ワイヤレス通信が15.6%減、民生エレクトロニクスが14.7%減、産業用エレクトロニクスが8.6%減、自動車向けが4.4%減、有線通信が0.3%減となっている。

メモリは、この市場の中でデータ処理部門とワイヤレス通信部門で大量に使われるため、これらの市場と連動することが多い。しかも購入企業は、2017年〜18年のメモリ供給不足の時に二重、三重で発注したため、在庫は大きくたまっており、未だに在庫が十分はけていないようだ。

有線通信は、光ファイバ通信用の部品をはじめとして高速アナログICやロジックICも含むため、落ち込みは少ない。また、自動車エレクトロニクスは長期的に成長し、また開発から量産までの期間も長いため、変動は少ない。急成長がない代わりに急激な落ち込みも少ない。

参考資料
1. Chip debacle continues in the first half as semiconductor market posts worst results since 2009 (2019/09/03)
2. Top-15 Semiconductor Suppliers’ Sales Fall by 18% in 1H19 (2019/08/20)
3. 2019年上半期の半導体トップ15社ランキング (2019/0821)

(2019/09/04)

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