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2019年上半期の半導体トップ15社ランキング

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2019年の上半期の世界半導体トップ15社が発表された。市場調査会社のIC Insightsが発表したもので(参考資料1)、これによると、1位は19年第1四半期と同様Intel、第2位がSamsung、第3位TSMCとなった。日本勢は9位の東芝/東芝メモリと14位に入ったソニーの2社のみで、ルネサスは圏外から戻ってこられなかった。

表1 2019年上半期の世界半導体トップ15社 出典:IC Insights

1H19 Top 15 Semiconductor Sales Leaders ($M, Including Foundries)


上位15社のランキングの特徴は、メモリメーカーの後退である。Samsung、SK Hynix、Micronそして東芝メモリといったメモリメーカーは、27%〜35%減と売り上げ減少が大きい。特にDRAMは2017年、2018年と大きく伸ばした分、減少幅も大きい。DRAMトップ3社のSamsung、SK Hynix、Micronの合計売上額は、2018年の上半期に前年同期比36%増と大きく成長したが、2019年の上半期は同33%減、となった。メモリは単なる需給関係での単価の値上がりと値下がりによって売り上げが大きく左右された。DRAMなどに他の半導体チップも引きずられた。

メモリ単価の値上がりに期待したSamsungは、2017年第2四半期にトップをとったものの、2018年第3四半期までの1年半の天下に終わった。メモリ単価の値下がり動向を見ていれば、Intelが2019年通年のトップに返り咲くことは間違いない。需給関係によって半導体企業の売上額が大きく左右されたメモリバブルの状況から、メモリメーカー、特に価格を左右してきたSamsungに対する風当たりが今後も強まりそうだ。

トップ15社の内、プラス成長を示したのはソニーセミコンダクタソリューションズの13%増だった。ソニーは1年前には19位だったが、今回14位に躍進した。ソニーの半導体売上額の90%がCMOSイメージセンサ、特にスマートフォン用のセンサである。スマホのCMOSイメージセンサは単眼から2眼レンズ、さらに3眼レンズへとスマホ1台に3個も使われるようになってきている結果、スマホ市場だけでも大きなプラス成長を果たした。

そして注目は、圏外16位にランクされた、華為科技の半導体部門であるHiSilicon社だ。2018年上半期と比べ25%増の35億ドルを売り上げた。IC Insightsは、HiSiliconの売上額の90%以上が華為向けであり、華為は米国政府によってブラックリスト入りしたため今年の下半期には成長が遅くなると見ている。一方で、華為はこれまで発展途上国やアフリカ市場などでスマホの大きな実績を上げてきたが、ここ1年は中国国内市場に力を入れており、2019年第2四半期におけるスマホの出荷台数は27%増の3630万台を記録した。中国市場でのスマホの出荷台数は第2四半期に6%減だったが、華為だけが成長した(参考資料2)。

華為のスマホは、2019年の第2四半期の世界市場でも5870万台の出荷台数で前年同期比8.3%増のプラス成長を遂げている。華為は、米中貿易摩擦によって米国市場に対しては不利な立場に立たされたが、それ以外の市場では逆に増産している。こうなると中国国内には自国製の製品を愛好する国民が多いことから、HiSiliconは2019年後半も大きく成長できる可能性が高いともいえる。

第3四半期に対する見方は、対前四半期と比べ21%増〜2%減と幅広い、とIC Insightsは見ており、回復基調が出てきている。

参考資料
1. Top-15 Semiconductor Suppliers’ Sales Fall by 18% in 1H19 (2019/08/20)
2. Smartphone Shipments in China Fell 6% in Q2 2019, IDC Reports (2019/08/07)
3. Intelが2019年第1四半期も1位に、Samsungとの差開く (2019/05/17)

(2019/08/21)

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