2017年の世界半導体は22.2%増の4197億ドル−Gartner調べ
2017年の世界半導体売上額は前年比22.2%増の4197億ドル(46兆5867億円)となった、と米市場調査会社のGartnerが発表した。トップはメモリバブルで沸いたSamsungで、52.6%増の612億1500万ドル。1992年以来1位の座にいたIntelは577億1200万ドルで2位に陥落した。メモリ企業の伸びが著しい。トップ10位以内では唯一NXPだけがマイナス成長となった。
表1 2017年半導体メーカートップテン ファウンドリは含まないので合計金額が世界の市場規模になる 単位は百万ドル 出典:Gartner
世界の半導体産業の売り上げが4000億ドルを超えたのはこれが初めて。2000億ドルを突破したのは2000年のITバブルだったが、その後の景気後退から2000億ドルに復帰するまで4年後の2004年までかかった。さらに2004年の2000億台から3000億ドル台への到達には9年後の2013年だった。3000億ドル台から4000億ドルにはわずか4年で到達した。半導体産業の伸びは加速していることになる。
2017年の4000億ドル台突破はメモリによるもので、メモリだけの売り上げは64%増と驚異的な伸びを示し、まさにバブル的である。メモリは全半導体売り上げの31%を占めている。メモリバブルといったのは、半導体メモリは微細化によって毎年値下がりしていくのがこれまでの常識だったからだ。ところが、2017年にDRAMは44%も値上がりし、フラッシュメモリも17%値上がりした。特にNANDフラッシュが値上がりしたのは2017年が初めてだった。
電子システムメーカーはメモリの値上がりを吸収できず、パソコンもスマートフォンも2017年は値上がりした。
メモリの値上がりでトップのSamsungはもちろん、SK HynixやMicronといったメモリメーカーもランクを上げた。SK Hynixは2016年の4位から3位へ、Micronは6位から4位へ躍進し、東芝と同じ工場でNANDフラッシュを生産するWestern Digitalは圏外の17位から9位に飛躍した。NANDフラッシュメモリ以外の半導体を生産している東芝だけが8位のままであった。
GartnerはSamsungのトップを「砂上の楼閣」とみており、メモリ単価は2018年には弱まるだろうとしている。というのは特に中国がNANDフラッシュとDRAMの生産量を増やしてくるからだ。ただし、そうなると、Samsungは中国をつぶすため、生産量を増やし(昨年投資したため今でも生産能力はいつでも上げられる体制にあるといわれている)、あえて単価を下げてくる可能性が高いとみるアナリストもいる。
2位のIntelはパソコン向けのCPUが1.9%増の伸びにとどまったものの、クラウド需要のデータセンター用半導体が6%成長したことで何とか踏みとどまっている。
昨年はM&A(企業買収)が余り活発ではなかった。QualcommがNXPの買収はまだ完了しておらず、今年にずれ込みそうだ。またそのQualcommに対してBroadcomが買収提案を仕掛けており、こちらはまだ見込みは立たない。もし仮にこれら3社が合併すると、その合計金額は412億ドルになり、Samsung、Intelに対して脅威を与えることになるとGartnerは見ている。もしこの通りに進みメモリが再び値下がりすれば、Samsungは3位に落ちてしまう可能性もあるとしている。
参考資料
1. Gartnerの2016年世界半導体トップテンランキング (2017/01/26)