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半導体製造装置の受注が伸び続けている

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SEAJ(日本半導体製造装置協会)が発表した日本製半導体製造装置の受注額、販売額はそれぞれ前月比8.9%増の1795億5100万円、同1.9%増の1292億2400万円となり、B/Bレシオは1.39と高くなった(図1)。依然として好調な一方、バブルを警戒する必要がありそうだ。

図1 日本製半導体製造装置の受注額・販売額・B/Bレシオ 出典:SEAJ

図1 日本製半導体製造装置の受注額・販売額・B/Bレシオ 出典:SEAJ


日本製半導体製造装置の受注額はますます伸びている一方で、販売額とのかい離が目立つようになった。これまでの飽和的な傾向とは違い、伸びが急激になっているということは、これまでのけん引とは異なる「何かの力」が働いている。それは、おそらく中国ではないだろうか。

中国は、米国企業や米国と関連する企業の買収にことごとく失敗してきた。欧州企業を買収しようとしてもその米国法人がある場合にもうまくいかなかった。そこで、中国内の新しいメモリ企業とファブレスに投資をし始めている。メモリでは、DRAM工場をまず対象としており、現地のXMC社に中国政府系ファンドが投資した。いずれNANDフラッシュにも投資する可能性は高いが、今のところその動きはまだない。ファブレスへの投資も始めている。

中国における半導体製品は1年間で15兆円を超す大幅な輸入超過になっており、自前の工場で内需向けに生産することに必死になっている。このため、製造装置の発注は相次いでいる。まだバブルとは言えない状況かもしれないが、1年前の液晶パネルの生産では需要が見込めないまま受注額だけが増えていくというバブル的状況に陥っていた(図2)。最近でこそ、健全な状況に戻ったが、中国における需要と供給の関係は必ずしも市場経済のように動かない場合があるので、注意を要する。


図2 日本製FPD製造装置の受注額・販売額・B/Bレシオ 出典:SEAJ

図2 日本製FPD製造装置の受注額・販売額・B/Bレシオ 出典:SEAJ


日本製FPD製造装置は、最近はB/Bレシオが1.2〜1.3と健全な数字となっており、これで落ち着くことが望ましい。バブル的な注文が減ってきているように見え、今のところは順調に推移していると言ってよいだろう。

参考資料
1. 半導体製造装置市場、好調が続く (2017/01/24)

(2017/02/28)

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