2015年世界半導体トップ20社ランキング
米市場調査会社のIC Insightsが2015年の世界半導体ランキングトップ20社を発表した。もちろん、11月時点であるから12月末までの見込みである。とはいえ、各社受注見通し、生産計画から12月末までの売り上げをほぼ見込むことができるため、実勢とそれほどかい離するものではない。
表1 2015年の世界半導体ランキング(見込み) 単位は100万ドル 出典:IC Insights
表1によると1位は相変わらずIntelであるが、2位Samsungとの差はかなり縮まっている。2014年ではIntelの売上額はSamsungのそれよりも36%多かったが、2015年は21%に縮まる。成長率の大きな企業はAvagoで昨年の15位から10位にランクインした。その成長率は23%に達しそう。この数字は、Broadcomとの合併が決まっているが、それ以前の単独の数字である。Avagoは旧Agilent、その前はHewlett-Packardから独立した半導体メーカーであり、通信用RF回路や、光デバイスなどを得意とする。
新たにトップ20位にランクインしたのはファウンドリのUMCであり、Freescaleを抜き19位に入った。代わりに圏外に飛ばされたのはAMDだ。AMDは減収が止まらず、2015年は昨年比28%減の40億ドルにとどまる見込み。日本企業は、東芝、ソニー、ルネサスの3社が20位内をキープしている。
また、Avagoの次に成長が著しいのはドイツのInfineon TechnologiesとファウンドリのGlobalFoundriesである。Infineonはパワー半導体のInternational Rectifier(2015年の売り上げは11億ドルの見込み)を買収し、GlobalFoundriesはIBM Microelectronics部門(同7億ドルの見込み)を吸収した。
グローバル企業の売り上げにおいて、2015年ほど為替レートの影響を受けた年はない。米ドルが強く、日本は円安にシフトしたため、東芝のように円ベースではプラス成長でもドルベースではマイナスになったところもある。IC Insightsは、為替の影響が大きかったため、2015年の為替レートも公表した(表2)。日本はアベノミクスの円安誘導で、「超円高」状態から脱却したが、日本経済は市場の縮小のために大きな成長は見込めなくなっている。
表2 トップ20社ランキングを算出した為替レート 出典:IC Insights
2015年の数字を2014年の為替で計算し直して為替の影響を除くなら、トップ20社の成長率が0%から4%に増加する。為替の影響を除き最も大きな伸びを示した企業はInfineonの39%増である。IR社を吸収したInfineonの業績からもしIRの売り上げを除去してもユーロベースで20%という超高業績を示している。現地貨幣ベースではソニーが27%増、Samsungは18%増と好調さを示している。Samsungの売り上げはIntelの11%と、その差はますます縮まってくる。
来年はさらにAvagoとBroadcomの合併と、NXPとFreescaleの合併が予定されている。BroadcomとAvagoを単純合計すると、153億8200万ドルと見込まれ、今年の第6位にくる。NXPとFreescaleの合計でも102億ドルとなり、8位に相当する。また、Texas InstrumentsがMaximを、STがFairchildをそれぞれ買収するという噂もあり、日本企業で唯一10位以内に入っている東芝は10位以内に残れるか、厳しい状況に立たされることになりそうだ。
参考資料
1. 2015年上半期世界半導体トップランキング (2015/08/07)