FPD製造装置は受注額と販売額のかい離が激しくなる
2015年6月の日本製半導体製造装置の販売額にブレーキがかかった。受注額は7.4%落ちたが、販売額が28%も下がった(図1)。B/Bレシオ(販売額に対する受注額の比)は1.18と急上昇したからと言って喜ぶ数字ではない。販売額の急落が激しいからだ。
図1 日本製半導体製造装置の受注額、販売額、B/Bレシオ 出典:SEAJ
これはSEAJ(日本半導体製造装置協会)が発表した6月の受注額、販売額、B/Bレシオの3ヵ月の移動平均値である。3月に販売額の年度末需要があり、その影響で、受注額が伸びていたものの、B/Bレシオとしては1.0を割っていた。この状況は決して悪くはないので、B/Bレシオが1.0を割っても気にすることはなかった。6月の移動平均値からは3月の年度末影響が除去されたため、景況の見える形に戻った。
6月の販売額が急激に落ちたことは、ユーザー(半導体メーカー)が投資を控え、設備投資に対して様子見状態にあることになる。幸い受注額の落ち込みはわずかなので、不況になったという訳ではないが、今後の推移を注意して見守ることになる。
フラットパネルディスプレイの製造装置は、依然として受注額と販売額とのかい離が進んでおり(図2)、ここでもB/Bレシオが高いからと言って、喜ぶべきことではない。6月の受注額は505億2700万円、販売額は212億2100万円なっており、B/Bレシオは2.38というかけ離れた数字になっている。
図2 日本製FPD製造装置の受注額、販売額、B/Bレシオ 出典:SEAJ
FPDの受注額がずっと増えているのにもかかわらず、販売額がそれほど増えずに4、5、6月とむしろ減ってきている。しかも受注額と販売額とのかい離が激しいほど、ダブルブッキング的な要素が高まり、様子を見極めなければならない事態になる。これほどのかい離では、B/Bレシオの意味はなさない。
参考資料
1. 日本製半導体製造装置市場は安定期 (2015/06/18)