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半導体製造装置の下降、FPD製造装置の上昇の要因はiPhone 5か?

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日本半導体製造装置協会(SEAJ)が発表した7月における半導体製造装置のB/B(book-to-bill:販売額に対する受注額の比)レシオは0.89になり、景気の先行きが怪しくなった。一方、FPD製造装置はようやく受注が上向き、B/Bレシオが1.0を上回り1.12をマークした。

図1 日本製半導体製造装置の受注額・販売額・B/Bレシオ 出典:SEAJ

図1 日本製半導体製造装置の受注額・販売額・B/Bレシオ 出典:SEAJ


6月にB/B/レシオが0.91から0.95へと上がったものの、受注額は下がっているため喜ぶことではない、と警告した(参考資料1)が、その通りの傾向を見せている。7月は、販売額が-0.4%の微減だが、受注額が-7.6%と大きく落ちたためB/Bレシオは低下した。

SEAJのこれらの数字は、3ヵ月の移動平均値であるため、下降傾向は直近の7月単月では大きく落ち込んだことを示している。問題は、受注額の低下傾向がいつまで続くか、である。ここ数カ月はNANDフラッシュが低迷していたため、受注額は下降曲線を描いていた。7月下旬に東芝が生産量を30%減らすと宣言したが、8月17日現在まだ価格は上昇していないという(参考資料2)。米市場調査会社Barclays Capitalは、まだ在庫が溜まっているのではないかとしている。Barclaysは、低温ポリシリコンTFT-LCDの歩留まりが悪く生産量が上がらないためにアップルのiPhone5用にLCDパネルを十分に供給できず、このせいでNANDフラッシュが供給過剰になっていると見ている。


図2 日本製FPD製造装置の受注額・販売額・B/Bレシオ 出典:SEAJ

図2 日本製FPD製造装置の受注額・販売額・B/Bレシオ 出典:SEAJ


低温ポリTFT-LCDの生産が間に合わないことと符合するかのように、日本製FPD製造装置が昨年9月から4月までの低迷期を脱出した(図2)。4月を底として7月までの受注額はずっと上昇中である。中小型LCDの生産歩留まりが上がらないため、生産量を増やすために装置を多めに発注している可能性がある。しかし販売額がやや落ちたため、7月には約1年ぶりにB/Bレシオが1.0を超えた。

SEAJは製造装置の種類やその台数などを公開していないため、受注額が増えているのは中小型の低温ポリTFT-LCD製造装置の需要のせいなのかどうかわからない。しかし、Barclaysが述べるストーリーとは今のところ、符合している。

参考資料
1. 半導体製造装置のB/Bレシオは0.95へと高まるが、受注・販売額とも低下傾向 (2012/07/20)
2. H2 NAND Pricing: iPhone 5, DRAM, and other influencing factors, Solid State Technology (2012/08/17)

(2012/08/21)

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