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今年の半導体をけん引するのはワイヤレス通信分野、iSuppli調べ

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今年の半導体産業をけん引する市場は、ワイヤレス通信市場であり、前年比10.4%で成長することが市場調査会社のアイサプライ(IHS iSuppli)社の調査でわかった。今年の世界半導体全体の市場は、WSTSの予測では0.4%増であり(参考資料1)、アイサプライは3%増と成長率は低い。

表 半導体の主な応用分野 前年比で成長率を表している
出典:IHS iSuppli

2011
2012
情報処理
-4.1%
-1.9%
有線通信
0.8%
0.7%
無線通信
8.5%
10.4%
民生
-1.9%
1.3%
自動車
10.0%
2.7%
産業
9.3%
7.7%
MCP
-31.7%
-17.9%
MCP: Multichip Package


ワイヤレス(無線)通信用半導体は、2011年の658億ドルから10.4%増の726億ドルに成長すると見ている。他の分野が低成長で推移するのに対して、ワイヤレス分野が最も伸びが大きい。この市場をけん引するのは、スマートフォンやタブレットであり、これらのデバイスに使うワイヤレス半導体の需要が旺盛だと見てよい。

ワイヤレス半導体には、3GやLTEなどの通信ネットワークの送受信用のRFとベースバンドだけではなく、BluetoothやWi-Fi、ワンセグなどのTV放送受信チップ、GPS受信チップ、NFC(near field communication)なども含まれる。スマートフォンやタブレットには何種類ものワイヤレスチップが入っている。それも受信だけではなく送信用のパワーアンプチップも含まれる。ここに大きなビジネスチャンスがある。この分野はコネクティビティ分野ともいわれ、成長がここ数年期待されている。

ワイヤレスの次が産業用半導体で、その伸びは7.7%増。以下はずっと落ちて自動車エレクトロニクス用半導体が2.7%増になる。自動車用半導体は2011年には10.0%と最も大きな伸びを示したが、2012年は失速した格好になった。2011年は東日本大震災の影響で、供給不足が懸念され、後半にやや供給過剰になった。このため2012年はその影響を引きずっていると見てよい。

最も低迷するのはメモリ用のMCP(Multichip Package)で、17.9%減になる。MCPを使うNANDフラッシュやDRAMなどのメモリが不調であることと符合する。半導体全体では、2011年の3122億ドルから2012年は3%増の3208億ドルになるとアイサプライは見込んでいる。

アイサプライによると、半導体メーカー各社は2012年の下半期には次の成長サイクルに入ったと認識しているという。そのドライバがワイヤレス通信半導体である。この成長サイクルの強さと持続性は、世界経済がこの夏をどのような実績で推移するかによるという。加えて、この夏における消費者の財布のひもにも依存すると見ている。夏は消費者がエレクトロニクス製品を買う時期ではないが、夏の購買パターンがクリスマス商戦に向けた経済のバロメータになるという。

参考資料
1. 2012年世界半導体市場は1Qの8%減を4月以降にカバー、0.4%増へ成長とWSTS (2012/06/06)

(2012/07/30)

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