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2012年世界半導体市場は1Qの8%減を4月以降にカバー、0.4%増へ成長とWSTS

WSTS(世界半導体市場統計)は、先月下旬、カナダのバンクーバーで予測会議を開き、2012年における半導体市場と2014年までの予測を発表した。これによると、2012年の世界の半導体市場は0.4%増になる、と前回(2011年11月)の見通しの2.6%増から下方修正している。だからと言って今年の後半にブレーキがかかる訳ではない。

図1 WSTSが発表した2014年までの見通し 出典:WSTS

図1 WSTSが発表した2014年までの見通し 出典:WSTS


WSTSの今年の予測は、昨年の2995億2100万ドルから、3008億5900万ドルになるというもの。前回の予測を議論した11月ではタイの洪水がまだ続いていたものの、その影響が半導体ビジネスにはまだ明確に出ていなかった。しかし、2012年の1〜3月には半導体への影響が出て、世界全体で前年同期比8%減となった(図2)。むしろ、4月以降はプラス成長することによって、2012年トータルで0.4%増という予測となった。


図2 今年第1四半期(1~3月期)の半導体市場は8%減 単位は100万ドル 出典:WSTSの数字を元にセミコンポータルが加工

図2 今年第1四半期(1~3月期)の半導体市場は8%減 単位は100万ドル 出典:WSTSの数字を元にセミコンポータルが加工


日本では自動車向けの半導体が昨夏からのタイにおける洪水の影響を受け、第4四半期が大きく凹んだ。タイで海外生産を行っている世界企業の内、日本企業がダントツに多い。

製品別では、LEDやCMOSイメージセンサのようなオプトエレクトロニクスが13.6%増の262億2400万ドルに成長する見通しであり(表1)、これらが半導体市場のドライバとなる。集積回路は全体で0.5%減と見ており(表2)、特にMOSメモリの3.1%減、MOSマイクロの1.7%減が足を引っ張るが、MOSロジックは2.0%増と成長するとしている。MOSメモリの出荷額の48%がDRAMで46%がフラッシュだとしている。DRAMはマイナス、フラッシュはプラス成長ということで、3.1%減という見通しに落ち着いた。2013年にはDRAM、フラッシュともプラスになり、4.8%成長すると予測する。


表1 半導体製品別の予測 出典:WSTS

表1 半導体製品別の予測 出典:WSTS


表2 集積回路製品別の予測 出典:WSTS

表2 集積回路製品別の予測 出典:WSTS


MOSマイクロにはインテルなどの汎用マイクロプロセッサや制御系のマイクロコントローラ(マイコン)を含むが、スマホなどのモバイルデバイスに入るアプリケーションプロセッサはロジックに含まれるという。この分け方でいくと、パソコンや制御系に使うMOSマイクロはマイナスで、モバイルデバイスに搭載するプロセッサチップがプラスに成長することは理解できる。

今後の懸念材料は、欧州経済の不安定と、欧州への輸出が多い中国経済への打撃であろう。とはいえ、他の国も欧州経済の影響を受けるものの、半導体をけん引するスマートフォンやタブレット市場は拡大傾向にあり、トータルではプラスに向かう。

2013年、2014年の半導体市場はそれぞれ7.2%増、4.4%増と順調に伸びるとWSTSは見ている。製品別ではオプトエレクトロニクスが13年9.9%増、14年7.6%増と、やはりドライバになる。成長するオプトエレクトロニクスの周辺に欠かせないアナログICは13年8.3%増、14年6.2%増と成長し、MOSマイクロはそれぞれ5.7%増、4.5%増、ロジックはそれぞれ8.1%増、3.7%増と見る。MOSメモリも13年にはプラスに転じ4.8%増、14年1.2%増と予測している。

(2012/06/06)
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