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セミコンポータルが予測する2010年の世界半導体の成長率は固く見ても34%

2010年の世界半導体産業は34〜35%成長しそうだ。これはWSTS(世界半導体市場統計)が発表した9月までの数字(関連資料1)とこれまでの第3四半期、第4四半期の比較傾向、現在の景況感などを加味しながら、数字をセミコンポータルがはじき出した結果である。

最近の第3四半期(Q3)と第4四半期(Q4)を比較

図1 最近の第3四半期(Q3)と第4四半期(Q4)を比較


2010年9月までの世界の半導体産業は前年同期比でなんと40.9%という勢いで伸びてきている。この第4四半期も同様の傾向なら年間の成長率は40%に達してしまう。しかし、そうは問屋がおろさない。まず、2009年の第4四半期から2010年の第4四半期はどのくらい伸びるか見積もってみたのが表1である。今年の伸びが昨年の第4四半期と全く同じだと仮定すると、2010年全体では28.7%伸びることになる。しかし、これは2010年の第3四半期と比べると15.2%減にも縮んでしまう。今の景況感ではあり得ないシナリオだろう。

表1 2010年第4四半期の伸びの見積もり

 対09年Q4 対10年Q3 2010年の伸び
0%
-15.2%
28.7%
10%
-0.7%
31.7%
18%
0.0%
34.1%
20%
1.7%
34.7%
24%
5.0%
35.8%
30%
10.2%
37.6%
40%
18.7%
40.6%

では、これまで数年間における第3四半期と第4四半期がどのようになってきたか、比べてみたのが図1である。2008年の第4四半期と2009年第1四半期はぐっと落ち込んだ期間だった。ということは、図1において2008年の急激な落ち込みは例外と考えて差し支えない。それ以外の期間で見る限り、第3四半期と第4四半期の売り上げはさほど変わらない。クリスマス商戦はむしろ、第3四半期だと言われているくらいだ。

さらに現在の景況感を加味すると、第4四半期が悪くなるという兆候は見られない。DRAM価格が多少下がってきているとは言うものの、フラッシュは依然として好調であり、インテルはこの第3四半期で過去最高を記録したようにパソコンも悪くない。タブレットPCやスマートフォンはたちまち人気になって売れてしまう。となると保守的に見ても現状維持ということで第3四半期と第4四半期の数字が同じだとすると、第4四半期は対前年同期比18%増、2010年全体は34.1%増の成長を示すことになる。

もし、2010年第4四半期が前四半期よりも5%だけ成長すると仮定するなら、第4四半期の売り上げは前年同期比24%増となり、2010年全体では35.8%成長することになる。この数字は決して大げさなものではない。総じて、第4四半期が対前四半期比0〜3%なら2010年の伸びは34〜35%程度になる。現時点における景況感からそれほど大きな伸びも落ち込みも起こさないと見られる。

特にこの先のクリスマス商戦はアメリカの伸びが加速するため、世界的には0〜3%の伸びとみても固い数字だと思われる。ちなみに2010年1〜9月で最も大きく伸びた地域は米国である。日本の成長率が最も低いことを肝に銘じ、グローバルとのパートナーシップや販売、流通、共同開発などを進めていくことで成長率を上向きに変えることができるだろう。

表2 各国別の半導体売り上げ($B)

   2009年1〜9月 2010年1〜9月 伸び率
米国
27.02
40.25
1.49
欧州
21.03
28.3
1.35
日本
27.46
34.69
1.26
アジア
83.51
120.79
1.45


関連資料
1) 2010年9月の世界半導体売り上げは前月比15.8%増、過去最高記録を塗り替える (2010/11/02)

(2010/11/02)
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