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三井不動産、熊本に半導体産業のサイエンスパークを整備、モデルは台湾新竹

不動産デベロッパーから産業デベロッパーへと拡大する三井不動産が熊本県、同県合志市と共同で「熊本サイエンスパーク」プロジェクトを始動させた(参考資料1)。古い工業団地とは違い、量産工場だけではなく研究所や大学など半導体に必要なエコシステムを誘致する。加えて、北海道新千歳空港内に半導体関連企業が活用できる場「RISE Gate New Chitose Airport」も設立した。

熊本サイエンスパークイノベーション創発エリアのイメージ / 三井不動産

図1 熊本サイエンスパークのイメージ 出典:三井不動産


三井不動産は半導体産業のユーザー、メーカー、サプライヤ、大学、金融などが集う場「RISE-A」を昨年秋、東京・日本橋に設立・運営してきた。この場を、サイエンスパークにも広げていく。今回、熊本県合志市に設立した「くまもとサイエンスパーク」は、台湾の新竹サイエンスパークをモデルにして、量産工場に加え、インキュベーション施設、共同利用できるクリーンルーム(計画中)、エンジニアや研究者、営業者などが集う研究開発施設、シェアオフィス、会議施設、飲食・銀行などのワーカー支援施設など、半導体産業を中心としたエコシステムを作ることが狙いだ。

合志市には東京エレクトロン九州(TKL)や、ソニーセミコンダクタ熊本工場(SCK)、隣接する菊陽町にはTSMCの熊本工場であるJASMなどがある(図2)。彼らも利用できるような半導体産業の「場」を作ろうという訳だ。米国カリフォルニアのシリコンバレーには、さまざまなコーヒーショップやファミリーレストランなど誰でも気楽に集まれる場がある。例えばNvidiaの創立は、サンノゼのファミレス「デニーズ」において、ジェンスン・フアン現CEOら3人のエンジニアがコンピュータによる絵作り(グラフィックス)を実行するチップ(GPU)を設計するため、あれこれ議論したことがベースになっている(参考資料2)。


熊本サイエンスパーク予定地 / 三井不動産

図2 赤い地域がサイエンスパークの計画地 SCKはソニーセミコンダクタマニュファクチュアリング、TKLは東京エレクトロン九州、JASMはTSMCの熊本工場 出典:三井不動産


シリコンバレーには、さまざまな企業のエンジニアが自由に議論できる場がある。しかし、日本ではライバル企業と話をするなというマネージャーもいるような企業風土が多い。そこで三井不動産は半導体産業に中立的な立場からRISE-Aを立ち上げ(参考資料3)、半導体関係者なら誰でも参加できる場を提供した。ユーザーもサプライヤもライバル企業もいるが、資金提供の金融機関もいる。さらに海外ともつながりを求めて台湾の工業技術院ITRIやベルギーの半導体研究所imecとも提携しており、RISE-Aはコミュニティを形成することが最大の目的だ。

今回のサイエンスパーク構想は、コミュニティの形成だけではなく、アセットの整備という狙いがある。半導体産業の実際の施設や設備というアセットを整備し、パークマネジメント法人を設立し運営する。このためサイエンスパーク内でのコミュニティの場も設ける予定だ。

熊本に加えて、新千歳空港に2026年8月に開設予定の共創拠点には、登記可能な1〜11席のサービスオフィスを整備し、半導体関連企業の北海道進出の最初の拠点として活用できるようにする。ラウンジも設け、イベントができるようなネットワーキング機会を創出する。ラピダスは空港のそばにあるため、空港内にコミュニティの場を作る訳だ。

参考資料
1. 「三井不動産、熊本県・合志市と基本協定締結 『くまもとサイエンスパーク』プロジェクト始動、半導体産業コミュニティを併設」、三井不動産、(2026/04/27)
2. 津田建二著、「エヌビディア〜半導体の覇者が作り出す2040年の世界」、PHP研究所、(2024/10)
3. 「三井不動産、半導体メーカー、ユーザー、サポーター3者の出会いの場を提供」、セミコンポータル、(2025/07/17)

(2026/04/28)
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