Intelがソフトバンク子会社サイメモリと協業するメモリとは何か
2026年2月3日、Intel Connection Japanが東京虎ノ門ヒルズで開催された。Intelは新型メモリを開発するというソフトバンク100%子会社のSaimemory(サイメモリ)と協業すると発表した。しかし、その中身についてはほとんど話していない。共同で次世代メモリを開発し2029年に実用化を目指すとしている。どのようなメモリなのか、これまでの米国DoE(エネルギー省)傘下の国立研究所とIntelとの協業から探ってみよう。
図1 左からインテル代表取締役社長の大野誠氏、サイメモリ代表取締役社長の山口秀哉氏、Intel Government Technologies部門CTOのJoshua Fryman氏
昨日ソフトンバンクが発表したニュースリリース(参考資料1)では、「高容量・広帯域・低消費電力を特長とする次世代メモリ技術ZAM(Z-Angle Memory)をIntelと協業契約を締結した」、とある。サイメモリはIntelがDoEの支援を受けて推進しているAMT(Advanced Memory Technology)プログラムで確立された基盤技術や、NGDB(Next Generation DRAM Bonding)イニシアティブを活用するという。
AMTプログラムは、Sandia国立研究所がLawrence Livermore国立研究所、Los Alamos国立研究所と共同で進めてきたプロジェクトである(参考資料2)。重要なNNSA(国立原子核安全局:National Nuclear Security Administration)のミッションではメモリのバンド幅とレイテンシ(遅延)の限界を見極めることも課題となっている。3研究所での研究開発は3段階で構成され、第1,2段階は研究開発、第3段階が商品化である。
IntelのGovernment Technologies部門CTOのJoshua Fryman氏は、「IntelのNGDBプロジェクトはDRAM性能を上げながら消費電力を減らしコストを最適化するメモリアーキテクチャとアセンブリ手法である。標準的なDRAMはAIメモリには適さない」と述べている。実際、DDRメモリでは高性能化(広バンド幅)と低消費電力は両立しないというトレードオフの関係がある。それを打ち破る技術だという。
このNGDB技術は、DRAM Bondingという名称からも想像できるようにウェーハを重ねる技術であり、メモリ容量の限界を突破できる優れたアセンブリ技術の有効性を確認したとしている。従来のHBMとは異なるアプローチのようだ。Intelはそれらのウェーハをテストする技術を開発している。

図2 NGDB DRAMのテストプローブカード 出典:Intel

図3 4個のDRAMテストアセンブリ 出典:Intel

図4 DRAMテストアセンブリの断面 出典:Intel
Sandia研のニュースでは、Intelが開発したメモリテスターのプローブカード(図2)と、4個のNGDB DRAMのテストアセンブリ(図3)、そしてこのテストアセンブリの断面写真(図4)が掲載されている。
キオクシアでも3次元DRAM技術をIEDM(International Electron Device Meeting)2025で発表している(参考資料3)。これはNANDフラッシュのようにモノリシックにDRAMを積層していく技術で、メモリセルをトレンチやスタックとは異なり水平に設置する。チャンネルにIGZO(InGaZnO)材料を使っている。IGZOチャネルのDRAMはベルギーのimecも発表している。どのDRAM構造が今後の本命になるか、これから競争が始まる。
参考資料
https://www.saimemory.co.jp/news/press/20260203_01/
1. 「ソフトバンク子会社のSAIMEMORYとインテル、次世代メモリー技術の実用化に向けて協業」、ソフトバンク/SAIMEMORYプレスリリース、(2026/02/03)
2. “From early R&D to mature technology−Advancing memory technologies through strategic partnerships”, Sandia National Laboratories News, (2026/01/08)
3. 「高密度・低消費電力3D DRAMの実用化に向けた基盤技術を発表」、キオクシアニュースリリース、(2025/12/12)


