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Intel、AI時代のシステムファウンドリをIFSの目標に設定

Intelは、2月に「Intel Foundry Direct Connect 2024」を開催、その一部(参考資料1)をすでに報告したが、その詳細が明らかになった。Intelは自らを「AI時代のシステムファウンドリ」と呼んでいるが、その中身を明確に定義した。現在は世界ランクで10位付近にいるが、2030年までにTSMCに次ぐ第2位になる、と明言している。

Satya Nadella, CEO Microsoft

図1 Microsoft CEOのSatya Nadella氏


そのための布石として、「5N4Y」戦略で、4年間で5ノードを開発してきた。7nmノードのIntel 7と4nmノードのIntel 4は量産中、Intel 3はプロセス認証を終え量産準備段階まで来た。2024年には2nmプロセスであるIntel 20A(Aはオングストロームの意味)のプロセス開発を終え、次のIntel 18Aを進行中となっている。さらにその先のIntel 14Aのウェーハも試作した、と同社CEOのPat Gelsinger氏は2月に述べている。

さらに、Microsoftが自社設計するチップの製造にIntelのIntel 18Aプロセスを使うことを明言したこともIntel Foundry Service (IFS) を勇気づけた、と日本法人社長の鈴木国正氏は述べている。これは2月のイベントでMicrosoft CEOのSatya Nadella氏(図1)がIntelのサポートをコミットしたことを指している。

Intel 3では、新技術を満載する。GAA(Gate All Around)トランジスタの別名Ribbon FETや電源用配線回路を裏面に張り付けるPower Via技術、先端パッケージのチップやチップレット同士をつなぐEMIB技術、3D-ICのFeveros技術、さらにCuピラー同士を接続するハイブリッドボンディングなどを利用する。それ以降のプロセスにもこれらの技術を活用する。

こういった技術だけではなく、「シリコン技術の限界を押し上げ、パッケージング技術を駆使、シリコンを基板上に構築する。もはやSoC(System on Chip)を超えて、System of Chipsになり、アーキテクチャから量産プロセス技術までをカバーして、顧客に完全なソリューションを提供する」、と同社Foundry Services担当のVPで、Customer Solutions Engineering部門のGeneral ManagerであるBob Brennan氏は最近、Intelのブログで語っている(参考資料2)。

具体的にシステムファウンドリとして必要な要素は、シリコンチップや先端パッケージング技術、さまざまなパートナーやサプライチェーンとのエコシステムという、作り手主体の仕組みだけではなく、メモリとインターコネクト、システムアーキテクチャ、ソフトウエアとファームウエアといったシステムイノベーションも含まれている。これらをさらにネットワークやインターコネクト、メモリ、冷却技術、基板、パッケージ、プロセスの具体的な仕様までIntelは落とし込んでいる(図2)。


AI時代を捉えたシステム・ファウンドリー / Intel
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図2 Intelが示したシステムファウンドリの業務内容 出典:Intel


2023年末には高NAのEUV装置を導入して試作用に使ってきたが、2024年3月には量産向けの高NA EUV装置「TWINSCAN EXE:5200」をオレゴン工場に搬入した。

Intel Foundryを促進するエコシステムとして、IPとEDA、サービスの各グループに加え、USMAG(US Military, Aerospace, and Government)Allianceという米国政府とのアライアンスもある(図3)。USMAGは米国のセキュリティと政府のために米国企業の半導体設計と製造に従事するアライアンスである。EDAのエコシステムには、CadenceやSynopsys、SiemensのトップEDAベンダー3社に加え、シミュレーションのAnsys、計測器のKeysight Technology、電磁波設計技術のLorents Solutionも加わり、設計段階でのシミュレーションやエミュレーションなど十分なテストを行う。


進捗状況 / Intel
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図3 Intelファウンドリのエコシステム 出典:Intel


2030年にファウンドリで世界第2位になるという目標に対して、Intel Foundry ServicesのシニアVP兼General Managerの Stuart Pann氏は、「ファウンドリでもシステム思考を常に行っており、世界最初のシステムファウンドリとなる。TSMCは今確かに好調だが、ボブ・ディランの歌『Times, they’re changing』にあるように将来(ファウンドリの順位)は大きく変わるだろう」と楽観的だ。

参考資料
1. 「驚きの67%という営業利益率のNvidiaと、ファウンドリに賭けるIntel」、セミコンポータル (2024/02/26)
2. "Redefining the Foundry for an Era of AI", Intel (2024/03/18)

(2024/03/29)
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