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IoTで802.15.4もWi-Fiも互いに近づく新無線規格MatterとHalow(2)

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これまでの常識では、Wi-Fiはデータレートが速いが、到達距離は短かった。コーヒーショップや自宅、オフィス、公共の場などで高速性を利用して使われていたが、逆にデータ速度の遅いIoTには向かなかった。そこでIoTにも使えるようにするという規格がWi-Fi Halowであり、このほど認定を与えるWi-Fi Certified Halowプログラムが生まれた。

距離別データレートによるIoTテクノロジー比較 / Wi-Fi Alliance

図1 Wi-Fi Halowの到達距離とデータレート 出典:Wi-Fi Alliance


Wi-Fi Certified Halowは、IEEE 802.11ah製品のWi-Fi Alliance認証プログラムであり、1GHz未満の免許不要周波数帯を利用し、1kmの長距離通信ができるようになる。電波利用率を向上させることで一つのアクセスポイントで数千台のデバイスをサポートする。低消費電力であり、使い方によるがボタン電池で数カ月あるいは数年動作させることが可能である。

これまでIoTデバイス専用の通信ネットワークとして、図1のようにSigfoxやLoRaWAN、Wi-SUNなどがあった。加えて、4G/5Gセルラー通信ネットワークでも、NB-IoTやCAT M1などの規格を作り、4Gの後半から使われるようになった。しかし、IoTネットワークにWi-Fiの規格はなかった。

Ericsson Mobility Report November 2021によると、IoTデバイスは毎年20%弱で伸びている。2025年には300億台のIoTデバイスが生まれると見込まれている。今後2年間で1.1兆ドルの市場規模になると見られている。この大きな市場の通信ネットワークをWi-Fiグループが指をくわえて見ている訳にはいかない。

Wi-Fi Certified Halowは、IoT専用のWi-Fi規格として認定された。周波数とデータレートの位置づけとしては、図2のように1GHz以下の低い周波数を利用し、データレートの低い規格となる。Wi-Fiプロトコルを使っているので、様々なデバイス同士がつながることを確認するインターオペラビリティは問題ない。工業用、農業、スマートビルディング、スマートシティなどの応用が期待されている。


Wi-Fiは様々な周波数帯に対応 / Wi-Fi Alliance

図2 Wi-Fiは様々な新規格が生まれている 出典:Wi-Fi Alliance


従来のIoT応用の内、ビデオ伝送のような高速データレートが必要な用途を除き、温度や湿度、振動、加速度、磁気などの物理量を測定する用途ではデータレートを速くする必要がない。むしろ長期間電池を長持ちさせるための低消費電力特性が求められる。IEEE 802.11ah規格に準拠するWi-Fi Halowはこういった特性を満たす特長を持つ。さらにWi-Fi Certified デバイスは、Wi-Fiで認定された強力なWPA3セキュリティを持つ。


日本におけるWi-Fi Allianceのメンバー / Wi-Fi Alliance

図3 日本におけるWi-Fi Allianceのメンバー 出典:Wi-Fi Alliance


日本でも大手のかなりの大企業がWi-Fi Allianceのメンバーになっている。(図3)Wi-Fiの日本における経済効果は2021年に2510億ドル(約28.6兆円)と見積もられており、これが2025年には3250億ドルになると予想されている。

参考資料
1. 「IoTで802.15.4もWi-Fiも互いに近づく新無線規格MatterとHalow(1)」、セミコンポータル (2022/01/18)

(2021/01/19)

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