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B2B指向が明確になったCEATEC 2018(3)〜IoT/クルマ/健康市場に照準

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多くの部品メーカー・半導体メーカーはセンサを発表しており、IoT市場狙いを打ち出している。固体電解質を使う全固体電池はこれまでも様々な展示会で出展されてきたが、いまだに商用化できていない中、TDKが来年半ばに量産化すると明言した。140GHzというサブテラヘルツのCMOSレーダーによる生体センサをイスラエルの会社が発表している。

ロームは、クルマのモックアップを展示し、クルマのどの部分に同社の製品を使うことができるのか、開発品を含めてデモした。いわば自動車産業への提案である。クルマはACES(Autonomy, Connectivity, Electricity, Sharing:エイシスと発音;意味はエースの複数)という言葉(並べ替えるとCASEに)で表されているが、Sのシェアリング以外は全てテクノロジーが深く関連する。ロームはボディからシャーシ、インフォテインメント、安全性などほとんど全てのクルマの分野をカバーしているが、今回のデモは、超音波センサをクルマの後方に取り付け、人や物が近づくとフロントパネルに置いた赤いLEDが点滅する、というもの。


図1 Formula E向けインバータ小型化の変遷 ロームはSiCで一気に小型に

図1 Formula E向けインバータ小型化の変遷 ロームはSiCで一気に小型に


準ミリ波レーダーではなく超音波センサを使ったのは、システムコストが安いから。ロームはセンサからアナログフロントエンドの低ノイズ回路に関して強い技術力を持つため、ノイズを抑え受信性能を上げることに自信があった。

さらにロームはSiCを使ったオンボードチャージャーやインバータ、DC-DCコンバータなどのパワー回路も得意である。SiCの効果を確かめるための電気自動車のレースであるFormula Eはこれまで4回開催されたが、第2回からロームもチームVenturiの一員として参加し、IGBT、SiCダイオード、さらにSiC MOSFETへとインバータの小型化を示してきた(図1)。12月に開催予定のシーズン5ではインバータ出力を上げ最高速度を225km/時に、次のシーズン6では280km/時の最高速度へと高め、内燃エンジンの320/時へと近づいている。

セイコーインスツルから独立したエイブリック(参考資料1)は、チャージポンプ回路を使って、わずかな電荷を少しずつ貯め、ある程度溜まったらデータを発信できるようなエネルギーハーベスティング技術をデモで見せた。Clean Boostを呼ぶ、この技術は布地に二つの電極を埋め込み、水をはじめとする電解液が付着した時に電池(ボルタの電池)となり、内部回路のコンデンサに電荷が溜まり、ある程度溜まると放電して発信回路を通して送信する。水分や何らかの液体(電解質)を検出するIoTセンサとして使える。

同社はもともとセイコー電子工業で、時計用のCMOS ICを設計・製造してきた実績とノウハウがあるため、消費電力を下げる技術が得意で、リーク電流が数十nAと低いという。Bluetooth LE(Low Energy)のBeaconモードで電波を飛ばせるようにしているが、送信方式は問わない。エイブリックは、この蓄電・昇圧回路ICを外販する計画で、発電菌土壌センサや水分発電センサなど電池なしのワイヤレスセンサとして提案している。

新日本無線(NJR)はワイヤレス給電のデモをロボットアームに適用できるデモを見せた(図2)。これは送受信コイルとモータを3段取り付けた金属の関節を作り,関節間に配線がないことから関節そのものをぐるぐる回転させることができるようになっている。ここでは6.78MHzの高周波を使った独自仕様で試作している。


図2 NJRはワイヤレス給電技術でロボットアームを試作

図2 NJRはワイヤレス給電技術でロボットアームを試作


NJRは社名通りワイヤレス技術が得意であり、エネルギーハーベスティングを使った温度や湿度のセンサも提案している。これは温度や湿度による抵抗やコンデンサの変化により発振回路の周波数に変換し、外部からの電波を受け取り、そのセンサ信号電波の周波数に乗せて外部へ発信するという回路だ。工場や倉庫内に電波を送受信する親機トランシーバを取り付け、室内のフォークリフトや台車などに搭載したこのセンサチップからのデータを親機が無線でとらえ、制御するシステムを提案している。また、昨年も展示したが、24GHzの準ミリ波を利用して呼吸と心拍数を測定する見守りセンサを今年はモジュール化し外販に向けて電波法に準じるなどの準備を進めている。

今回は全固体電池の展示も以前より増え、太陽誘電や村田製作所などが展示した。しかし、以前と同様、商用化に言及することが少なく、したとしても2〜3年のレンジでの実用化について触れるにとどまっていた。今回はTDKがセラミックの厚膜技術と印刷技術により、セラミックの固体電解質を用いた、Liイオン固体電池を展示した(図3)。4.5mm×3.2mm×厚さ1.1mmの電池「CeraCharge」の出力は、100µAhで1.6Vという特性だ。電流容量はまだ小さいが、来年中ごろに発売する予定で進めている。半田のリフローが可能なので、IoTやエネルギーハーベスティング用途を狙っている。


図3 TDKの全固体Liイオン電池 セラミックの厚膜で製造 出典:TDK

図3 TDKの全固体Liイオン電池 セラミックの厚膜で製造 出典:TDK


変わったところでは、イスラエルのNeteera社は140GHzというサブテラヘルツのレーダーを使ったCMOSLSIを使った健康状態モニターを提案している。ミリ波よりも波長が短いため、LSIパッケージの上にアンテナ素子を作り込むことができ、送受信可能な1チップレーダーとなっている。ここでは心臓と肺の動きを捉え、モニターする。米国の厚労省に相当するFDA(食品医薬品局)公認の心電図とこのチップでとらえられた心拍パルスの時間変化はよく一致しており(図4)、この半導体を量産してくれる日本のパートナーを探している。


図4 140GHzのサブテラヘルツを使った心拍図 出典:Neteera

図4 140GHzのサブテラヘルツを使った心拍図 出典:Neteera


参考資料
1. エイブリック、楽しく持続的に成長できる会社へ (2018/08/28)
2. B2B指向が明確になったCEATEC 2018 (1) (2018/10/17)
3. B2B指向が明確になったCEATEC 2018 (2)〜2社からAIのIPコア (2018/10/23)

(2018/10/24)

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