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ファウンドリビジネスが再び活発、TSMCが新棟建設、インテルは3社顧客獲得

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ファウンドリビジネスが再び活発化している。TSMCは新たなギガファブの建設をはじめ、インテルは3社目の22nm FINFETプロセスファウンドリの顧客を獲得した。ファブを持つ半導体メーカーにとってファウンドリビジネスは、ファブを有効に活用できるためインテルはこれを密かに進めている。

図1 台南市にあるTSMCの既存工場

図1 台南市にあるTSMCの既存工場


TSMCが台湾の南部、台南市にギガファブと呼ぶ巨大なプロセス工場の建設に着手、このほど起工式を行った。このギガファブFab 14フェーズ5はプロセスノード20nmのウェーハプロセス工場になる予定で、TSMCとしては新竹のFab 12フェーズ6に続く2番目の20nmプロセス工場となる。最初に建設した新竹のFab 12は20nmプロセスを来年量産稼働させる計画だ。

今回のFab 14フェーズ5における20nmプロセスでは、量産開始時期を2014年はじめに予定している。Fab 14工場の規模は、フェーズ5に続くフェーズ6の工場と合わせ、そのクリーンルームの全面積が8万7000平方メートルになる。これはサッカー場11個分に相当し、標準的な300mmウェーハ工場の4倍以上になるとしている。TSMCは微細化を推進することでグローバルな競争力を強めようとしている。

現在のFab 14の300mm工場(図1)はフェーズ1から4まで稼働しており、その生産能力は300mmウェーハ55万枚/四半期である。今回と次回のフェーズ5と6を合わせた規模は、フェーズ1~4の合計と同等だという。ちなみにFab 14のフェーズ1~4が生産する生産額は年間60億ドルで、新工場も同等な生産額を見込んでいる。

同社会長兼CEOのMorris Chang氏は、「TSMCは台湾に投資を続け、技術のリーダーシップと製造経験、顧客の信頼、といったTSMCの強みをさらに強めていく」と語った。同氏は、TSMCの地位を確固たるものにすることで、世界の半導体産業の中で台湾が不可欠な存在にさせていく、と考えている。このFab 14フェーズ5は「今後も先端技術はTSMCにお任せください」というメッセージである。

一方、TSMCの28nmラインは3月いっぱい停止していた。28nmプロセスを利用するスマートフォンやタブレット向けのモバイルプロセッサSnapdragonを設計しているクアルコムや、Tegra-3を設計しているnVidia、さらにはパソコン向けグラフィックプロセッサRadeon HD 7000Mを設計しているAMDが、TSMCへ28nmの生産能力不足を解消するように求めていたようだ。AMDは、同社から製造部門をスピンオフさせたGlobalFoundriesとの資本関係をこの3月はじめに解消し、28nmにはTSMCを使うことになっていた。それまでAMDはGFの株式の14%を保有していた。

インテルは3社目の顧客を獲得
インテルはファウンドリビジネスに力を入れることを正式には表明していないが、FPGAの新興ファブレスであるTabulaがインテルの22nm FINFET(3Dトライゲートとも言う)プロセス工場をファウンドリとして使うことを表明している(参考資料1)。さらにもう2社FPGAのAchronix社と、ネットワークプロセッサのベンチャー企業のNetronome社(参考資料2)もインテルに製造を依頼することを発表した(参考資料3)。

図2 インテルの22nmFINFETプロセス フィンの数を増やすことで電流駆動力を増加できる 出典:Intel

図2 インテルの22nmFINFETプロセス フィンの数を増やすことで電流駆動力を増加できる 出典:Intel

Netronome社はもともとインテルのネットワークプロセッサIXP28xxシリーズのライセンスを受け起業化した。10Gビット/秒以上のハイエンド高速ネットワーク用のプロセッサを開発、現在は65nmノードのプロセッサをTSMCで量産しているが、次世代は45nmや28nmを経ずにいきなり22nmのFINFETプロセスで製造することを決めた。

インテルの22nm FINFETプロセスは、インテル自身、モバイルプロセッサのIvy Bridgeに使う予定だ。Achronix社の見積もりによると、同社のFPGAにこのプロセスを使うと、28nmのCMOSプロセスと比べ、性能は300%上がり、消費電力は半減、コストも40%削減されるという。

参考資料:
1. インテルの22nmFINFETプロセスをファウンドリとして使うTabula社 (2012/03/01)
2. 米国ベンチャーNetronomeが超ハイエンドなネットワークフロープロセッサを設計 (2009/06/12)
3. Netronomeのプレスリリース (2012/04/04)

(2012/04/10)

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