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IMECが450mmウェーハ工場を2016年から稼働させる計画を発表

ベルギーの研究開発会社IMECが450mmウェーハのファブを2016年はじめに稼働を始める計画を発表した。すでに数社と話し合いに入っている、と同社CEOのLuc van den Hove氏は語った。450mmウェーハプロジェクトはこれまで米国の研究開発組合SEMATECHが中心となってやってきた。これを単なる対立と捉えると大きく間違えることになる。

図1 IMEC CEOのLuc van den Hove氏

図1 IMEC CEOのLuc van den Hove氏


IMECはすでに300mmウェーハ工場内に450mm-readyと呼ぶ工場(クリーンルーム面積4400m2)を完成させている。ここにオランダASML社の巨大なEUVリソグラフィ装置NXE3100を導入している。「われわれはムーアの法則は止まらないと考えている」(同氏)として、22/20nmの次は14nm、11nmノードへと微細化を進めていく。

450mmウェーハではSEMATECHがウェーハバンク方式を利用して、CVDやエッチングなど個別プロセスの評価を行っている(参考資料1)。450mmのウェーハを装置に入れ、装置の動作、使い勝手、ウェーハ処理の評価などさまざまな項目をテストするためのウェーハを貸し出す仕組みである。SEMATECHの450mmプロジェクトは、プロセスのインフラストラクチャを構築することに注力している。

IMECは今回、450mmを早期の段階でやるという決意と計画を示した。「これまで300mmへのシフトでは米国や日本が先頭になって進めてきて、IMECは(正直言って)出遅れた」(van den Hove氏)ため、450mmは最初の段階から参加しようということを決めた。

2012年から始めるフェーズ1では、装置のテストを行う工場を充実させる。現在完成させた450mm-ready工場は天井が高く、450mmの装置を設置できるという形を作った。ここに450mm対応の装置を入れ、モジュールを選択し評価する。2014年ごろからプロセス開発を進め、「2015年にはトランジスタを試作できるようにしたい」とvan den Hove氏は語る。フェーズ1は2015年ごろに終わり、すぐにフェーズ2が始まる。ここでは、450mmプロセスの全ての工程を評価できるようにデバイスのプロセス開発を進めていく。初期段階の少量生産が2016年ごろから可能になる。フェーズ2の終了は2018年を予定している。

IMECが450mmプロセスで最優先することは、デバイスの価値を高め、コストをかけずにプロセスを作っていくこと、すなわち低コストプロセスの開発である。この方針はSEMATECHと共通だ。最大の課題は、ウェーハハンドリングやインターフェースを標準化することで、これがなければ低コスト化はできない。

「IMECはSEMATECHと何とかして相補的な関係を築き、アルバニーでプロセス開発経験を築きたい。SEMATECHとはまだ正式に契約を交わした訳ではないが、われわれは常にアイデアをオープンにしている」とvan den Hove氏は締めくくった。

参考資料
1. 半導体の製造拠点はアジア太平洋にシフト、だから日本とアジアに注力 (2011/04/18)

(2011/10/12)
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