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タブレット向けDRAMの需要急増の予測をエルピーダ、アイサプライ共に期待

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エルピーダメモリは同社の決算発表会において、タブレットやスマートフォン向けの「モバイルDRAM」がコンピュータ向けのDRAMの市場規模と同じ程度になることを期待している、と述べた。アイサプライは、メディアタブレット向けのDRAM需要が9倍に増えると発表した。

図1 アイサプライの予測するタブレット向けDRAM出荷数(単位はGビット) 出典:iSuppli

図1 アイサプライの予測するタブレット向けDRAM出荷数(単位はGビット) 出典:iSuppli


エルピーダメモリは2010年度第3四半期(2010年10〜12月期)における売り上げが971億円、営業損失、経常損失がそれぞれ269億円、305億円という大幅な赤字を計上した。にもかかわらず同社の表情は明るい。理由は3つある。一つは、ここ数日の急激な値上がりがやってきて、これまでの下落傾向に歯止めがかかっているように見えるからである。もう一つはDRAMの需要がモバイル向けに伸びそうだという読みがあるためだ。さらにフリーキャッシュフローが138億円あることも明るい材料の一つだ。

ここ直近のDRAM価格の底打ちは、DRAM専門の市場調査会社DRAMエクスチェンジでも、2Gバイトのメモリモジュールの価格は平均で17ドル、最安値でも16ドルになっており、価格は安定な状態に入ったと判断している。この底値から20~25%の値上がりリバウンドが始まるだろうとこの調査会社は見ている。在庫レベルが下がったことに加え、1月に発売された、インテルの64ビットマイクロプロセッサSandy Bridgeがまずまずの滑り出しを見せたと言われている。1月31日にそのチップセットに不具合が見つかりマザーボードを回収するニュースが入ったが、64ビットシステムそのものの否定ではない。64ビットパソコンが受け入れられると、アドレス空間が4Gバイトまでという「32ビットの壁(参考資料1)」は取り除かれるため、DRAMのビット需要は市場の決めるままに増やすことができる。

DRAM市場最大の原動力となるのは、スマートフォンやタブレット向けの製品。エルピーダは、3月末にはモバイルDRAMがおよそ70%弱まで増えると期待している。

アイサプライが予測するタブレット端末のDRAM出荷量は2011年末にビット換算で、3億5330万Gビットになり、今後も伸び続け、2012年には10億Gビット、2013年22Gビット、2014年には35Gビットになると予測している(図1)。2011年のタブレット端末自身の出荷台数は、2010年の1710万台から5760万台へと飛躍的な伸びを見せると予測している。

ただし、DRAMの平均単価は低迷が続くため11.8%減となるとする。ただし、アイサプライのニュースリリースは1月31日に流れたもので、最近のDRAM価格の値上がり傾向は反映されていないようだ。


図2 エルピーダが予測するモバイルDRAMの成長性 出典:エルピーダメモリ

図2 エルピーダが予測するモバイルDRAMの成長性 出典:エルピーダメモリ


エルピーダは、2011年のタブレット用DRAMは1Gバイト/台と予測するが、アイサプライも同様に見ており、1月に開催されたCES(コンシューマエレクトロニクスショー)において展示されたタブレットは1GバイトのDRAMを内蔵した製品が多かったとしている。

タブレット用途に向け、エルピーダは、低消費電力版のLP DDR2は本格的に今年出荷されるとしている。この数字は2009年末の出荷量を1とすると2011年末には14倍の出荷数量になると見込んでいる。スマートフォンには平均5.2Gビットが入るという。1パッケージの中にLP DDR2チップは2枚あるいは4枚入る。LP DDR2は1.8V動作のLP DDR1よりもさらに低電圧の1.2Vで動作するため、今後の低消費電力DRAMの主流になるとエルピーダは期待する。

参考資料
1. DRAMよりNANDフラッシュが伸びるメモリー市場 (2008/08/06)

(2011/02/04)

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