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DRAMよりNANDフラッシュが伸びるメモリー市場

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DRAMの大容量化はそろそろアタマ打ちだが、NANDフラッシュの市場はノートパソコンへと拡大する。このような予測を日経マーケット・アクセスのアナリスト、菊池珠夫氏が先月東京で開催されたアレグロインフォメーションセミナーで述べた。これまでも、32ビットのコンピュータシステムでは、DRAMの大容量化はもはや不要になってきたことを指摘してきたが、アナリストの口からDRAMの大容量化への動きが鈍ることが言われたことは初めてに近い。

32ビットのコンピュータでは、仮想アドレス空間が2の32乗、すなわち4Gバイトである。これ以上メモリー容量があっても32ビットのPCシステムでは、必要ない。マルチコアシステムのように複数のプロセスを走らせる場合にはその数だけ必要になるが、それでもこれまでのような急速なビット容量の拡大はもはや意味がない。もちろん、サーバーのように64ビットシステムだと、2の64乗だから大容量化はまだまだ求められるが、サーバー市場はパソコン市場ほどには大きくならない。

ノートPC 向けDRAMの大容量化が鈍る一方で、NANDフラッシュのノートPCへの搭載が高まっていく、と菊池氏は予測する。2007年には32GバイトPCへの搭載率はわずか1%しかなかったが、今後さらに大容量化が進み、32Gバイト以上の搭載率は2008年には6%、2009年は16%に拡大するとしている。しかも2008年の6%のうち、32GバイトPCは1%だが、64GバイトPCは2%、128GバイトPCは3%と予測する。2010年には32GバイトPCはもはや姿を消し、64GバイトPCが4%、128GバイトPCは14%、256GバイトPCは2%になるとみている。すなわち、64Gバイト以上のPCへの搭載率は20%になる。同様にして、2011年は64Gバイト以上が30%、2012年は128Gバイト以上が32%、2013年は同34%に増加するとしている。


NANDフラッシュのノートPCへの搭載率


ノートPCにNANDフラッシュを搭載するメリットは、何といっても起動時における立ち上がり速度であろう。従来のハードドライブで、重いWindow Vistaを起動させるのに数分かかるが、不揮発性半導体メモリーの採用により数秒に短縮する。

さらに、モバイルPCといった新しい市場も出来てくる。すでに台湾のパソコンメーカーASUSTekやAcer、Giga-ByteなどがIntelのAtomプロセッサを搭載したウルトラモバイルPCやモバイルインターネットデバイス向けの小型PCを発表しており、ここにNANDフラッシュを搭載したSSD(半導体ディスク)が使われる。これらのネットPCは、電源をオンしたとたんにインターネットにつながるという特徴をもつ。

菊池氏はパソコンの生産台数にも言及し、世界のパソコン生産は2008年時点でもデスクトップが1億8000万台、ノートが1億3000万台と見積もっているが、デスクトップはもはや飽和しており、ノートは年率平均20~30%で成長を続け、2010年にはノートとデスクトップ生産台数は逆転するとしている。一方、台湾勢が従来の委託生産から独自ブランド生産へとシフトしている。エイサー(Acer)やアサステック(ASUSTek)が特に自社ブランド製品のPCに力を入れている。

パソコン以外では、2008年に携帯電話機が12億台、薄型テレビは1億1500万台、デジタルカメラが1億4000万台、ゲーム機が1億1000万台、携帯用オーディオプレーヤーは1億2000万台、メモリーカードは7億枚、という需要を見込んでいる。いずれの応用にもNANDフラッシュは大容量という目的で使われるが、DRAMは一時記憶や誤り訂正、ビデオRAMなどに使われ、大容量の必要性はそれほど高くはない。

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