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三洋電機、フルHD仕様のネットワークカメラを開発、ソリューション販売へ

監視カメラ市場にもフルHD(1920×1080の高精細)仕様がやってくる時代になってきた。三洋電機は4品種、6機種のフルHDカメラを発表した。これまではVGAやせいぜいSD(標準解像度)レベルの解像度しなかった。フルHD仕様のネットワーク監視カメラの狙いは単なる防犯や犯人探し、という目的だけではない。

三洋電機はこれまで民生市場で培ったXacti HD-ProフルHDカメラの技術を生かし、キモとなるビデオ半導体ICに新たにEthernetインターフェース回路を追加、ネットワーク向けに改良した。ネットワークカメラをフルHDにすれば当然、映像データを記録するストレージに負担はかかるが、用途に応じて圧縮方式やフレームレート、解像度を設定してストレージの負担を軽くなるようにしている。これにより、最大4本のマルチストリームとフルHDまで対応できる。


三洋電機執行役員デジタルシステムカンパニーDI事業部長の田渕潤一郎氏
三洋電機執行役員デジタルシステムカンパニーDI事業部長の田渕潤一郎氏


三洋電機執行役員デジタルシステムカンパニーDI事業部長の田渕潤一郎氏によると、フルHD化の移行は必然と言い切り、テレビのデジタル化が進む中で高画質大画面の映像を見た消費者がそれ以前の映像に戻れないのと同様、もはや戻せない動きだという。実際、警察の交通部門はナンバープレートをはっきり見たい、コンビニの店主は紙幣のナンバーまで鮮明に見たい、カジノ運営者はトランプカードを確認しておきたい、という要求が強いという。いずれも公平公正なビジネスには欠かせない。

監視カメラに使う半導体は主に二つ。一つは民生用に開発していたXacti HD-ProというCMOSセンサーからの信号を処理しコーデックを内蔵したチップであり、もう一つはOptimum IP-Proと呼ぶ、H.264とモーションJPEGコーデックを内蔵しEthernetのLANコントローラを集積したチップである。後者のチップからLANネットワークへ出力する。DDRメモリーやオーディオコーデック、ビデオドライバ、焦点アシストドライバは外付けとなる。コーデックはそれぞれ独立した回路構成にしてあり、トランスコーデックは積んでいない。


チップ構成図
チップ構成図


日本市場向けに6機種だが、海外市場向けにはさらに3機種追加する。カメラ単品を売るというよりもユーザーのネットワークシステムに応じてカスタマイズするため、十数社とコラボレーションを組みソフトウエア開発に当たり、ソリューションを販売していく。



(2009/10/05)

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