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グローバルファウンドリーズ、28nmのゲートファーストを20nmでラストに転換

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Douglas A. Grose氏、Global Foundries社CEO

米グローバルファウンドリーズ社がシンガポールのチャータードセミコンダクターを傘下に収めてほぼ1年。いまや世界第2位のファウンドリ企業になった。このほど来日したCEOのダグラス・グロース氏は今年の方針を語った。

図1 グローバルファンドリーズのCEO、ダグ・グロース氏

図1 グローバルファンドリーズのCEO、ダグ・グロース氏


グローバルファウンドリーズ(GF)社は2010年1月にチャータードを買収、今や150社の顧客を持ち、従業員1万1000名のファウンドリ企業に成長した。顧客にフォーカスした戦略で「最も重要なことは、Time to volumeである」(グロース氏)というように、いかに早く量産するかであり、そのために新テクノロジを開発し、カスタマに価値を与えるソリューションの提供に腐心する。

ファウンドリトップの台湾TSMCが28nmプロセスを揃えることでアルテラがローエンドからハイエンドまで一気に製品を出せるようになったのと同様に、TSMCに遅れずに28nmプロセスを提供することに今は注力している。28nmプロセスの特長は、HKMG(high-k+メタルゲート)を用いたゲートファースト・プロセスだ。これは従来のポリシリコンゲート・プロセス同様に、ソース・ドレインの形成前にゲートを先に形成する方法である。このため、40nmプロセスとの継続性がある半面、イオン注入、アニールに耐えられる特性を持つ必要がありゲート材料に選択の幅がない。このため、インテルなどはソース・ドレインを先に形成するゲートラスト・プロセスを使っている。


図2 28nmではゲートファーストを採用

図2 28nmではゲートファーストを採用


ただし、ゲートファーストのHKMGプロセスは32nmプロセスから使っており、すでにAMDのクワッドコアマイクロプロセッサLlanoを数千個サンプル出荷した実績がある。またサムスン向けにも32nmのHKMGプロセスによるSoCを納めている。

28nmのHKMGプロセスは、IPシャトルにも使われ、すでに使える状況にある。最初のカスタマは2011年の第2四半期にテープアウトする予定になっている。GF社は3バージョンの28nmプロセスを用意しており、SLP(スーパーローパワー)の超低消費電力プロセスと、HPの高性能プロセス、そしてHPPというハイエンドプロセスである。

28nmの先のシュリンクにはどう対応するか。28nmの次は22nmをスキップして20nmプロセスへ向かう。グロース氏は22nmを通るメリットがないからだという。20nmプロセスでは、これまで確立してきたゲートファースト・プロセスを捨て、ゲートラストにシフトする。20nmでは、「ゲートラスト・プロセスだとカスタマの声に応えられるからだ」とグロース氏は語る。20nmの試作は進めており2011年後半にはシャトルプロセスで利用できるようにする計画だ。

今年度のGF社の設備投資額は54億ドル、と2010年より倍増させる。主な用途はドイツのドレスデンにある300mmウェーハのFab1の処理能力を拡張することに加え、ニューヨーク州に導入を計画しているFab8の建設と製造装置の搬入を行い、中東アブダビにおける半導体工場建設のためのインフラを整備すること、である。


図3 3次元ICへのロードマップ

図3 3次元ICへのロードマップ


ウェーハプロセス技術を生かす3次元集積化にも力を入れ、インターポーザやTSVなどのパッケージン技術の開発も進め、信頼性を上げることを目指す。

GF社は微細化技術をさらに進展させ、20nm以降のプロセスノードを目指してEUVリソグラフィを導入、ニューヨーク州立大学のアルバニーに設置されたアルファ機を利用して、生産に向けて開発を進めている。それまでは従来通りの液浸リソを使う。

生産レベルのEUV装置をまずニューヨーク州のFab8に2012年後半に設置し、20nmの試作を始める。2014〜2015年までに量産を目指す計画だ。EUVではプリプロダクション用の装置の導入はスキップする。

(2011/01/25)

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